インスリンとグルカゴン 血糖調節の精密制御
血糖値(血液中のグルコース濃度)の調節は生命維持に必須で、インスリンとグルカゴンが拮抗的に作用します。糖尿病との関連も重要です。
基本知識
正常血糖値: 空腹時 70〜100 mg/dL。
血糖が上昇したとき:
膵臓ランゲルハンス島B細胞→インスリン分泌増加
・筋肉・脂肪細胞のグルコーストランスポーター(GLUT4)を細胞膜に移動させグルコース取り込み促進。
・肝臓でグルコース→グリコーゲン合成(グリコーゲン合成促進)。
・グリコーゲン分解・糖新生を抑制。→血糖低下
血糖が低下したとき:
膵臓ランゲルハンス島A細胞→グルカゴン分泌増加
・肝臓でグリコーゲン→グルコースに分解(グリコーゲン分解促進)。
・糖新生促進(アミノ酸・乳酸→グルコース)。→血糖上昇
副腎髄質→アドレナリン(緊急時に血糖上昇)。
副腎皮質→糖質コルチコイド(糖新生促進・長期的血糖維持)。
フィードバック調節: 血糖上昇→インスリン→血糖低下、血糖低下→グルカゴン→血糖上昇という負のフィードバックで平衡を保つ。
例題: ヒトが食後に血糖値が上昇した場合の調節機構を、インスリンの作用機序(GLUT4・グリコーゲン合成)を含めて詳細に説明しなさい。また、インスリンが「血糖を下げる唯一のホルモン」であることの臨床的意義を述べなさい。
解答: 食後に血糖値が上昇すると膵臓のランゲルハンス島B細胞がインスリンを分泌する。インスリンは筋肉・脂肪細胞ではGLUT4輸送体を細胞膜に移動させグルコース取り込みを促進し、肝臓ではグリコーゲン合成酵素を活性化してグルコースをグリコーゲンに蓄積させる。さらにグリコーゲン分解・糖新生を抑制する。これらにより血糖値は正常範囲に低下する。インスリンが唯一の血糖低下ホルモンである意義は、インスリン作用不全(I型糖尿病や重症II型糖尿病)では代替手段がなく血糖コントロールが困難になる点にあり、インスリン注射が治療の中核となる。
解答: 食後に血糖値が上昇すると膵臓のランゲルハンス島B細胞がインスリンを分泌する。インスリンは筋肉・脂肪細胞ではGLUT4輸送体を細胞膜に移動させグルコース取り込みを促進し、肝臓ではグリコーゲン合成酵素を活性化してグルコースをグリコーゲンに蓄積させる。さらにグリコーゲン分解・糖新生を抑制する。これらにより血糖値は正常範囲に低下する。インスリンが唯一の血糖低下ホルモンである意義は、インスリン作用不全(I型糖尿病や重症II型糖尿病)では代替手段がなく血糖コントロールが困難になる点にあり、インスリン注射が治療の中核となる。
ポイント
- インスリン=B細胞分泌・血糖を下げる唯一のホルモン
- インスリン作用=GLUT4動員・グリコーゲン合成促進
- グルカゴン=A細胞分泌・グリコーゲン分解→血糖上昇
- アドレナリン=副腎髄質・緊急時血糖上昇
- 糖質コルチコイド=副腎皮質・糖新生促進・長期血糖維持
- 負のフィードバック=血糖の恒常性維持の核心
練習
- グルカゴンが肝臓に作用して血糖を上げる仕組みをcAMPシグナル伝達を含めて説明しなさい。
- 糖尿病(I型・II型)でインスリン作用が失われた場合に起きる代謝異常を説明しなさい。
- 低血糖時にアドレナリンと糖質コルチコイドが動員される理由を、それぞれの分泌器官と作用時間の違いから論じなさい。