高校発展 / 海洋と大気の運動 5 / 6

海流と海洋構造

海流と海洋構造

海洋は深さ方向に大きく異なる水塊が積み重なり、表層では風成循環、深層では熱塩循環が支配的です。

基本知識

海洋は深さ方向に混合層(表面〜約100m、風と日射で均一)・水温躍層(サーモクライン)(約100〜1000m、水温が急減する層)・深層(1000m以深、低温・高密度・均一)に分かれます。
風成循環は偏西風・貿易風によって形成される表層循環です。北太平洋では時計回りの亜熱帯環流(北太平洋亜熱帯環流)が形成され、西岸では黒潮(強い暖流・幅100km・流速2m/s)、東岸では北太平洋海流・カリフォルニア海流が流れます。
エクマン輸送は風応力が海面に働くとき、コリオリ力の影響で風向に対し直角方向(北半球では右)に海水が輸送される現象です。亜熱帯で表層水が中央部に収束し水位が高まること(亜熱帯収束帯)が黒潮を強める一因です。

📘 重要用語
混合層(表面〜100m。風と波で均質化した暖水層)
水温躍層(深さとともに水温が急変する層。物質交換を阻む障壁)
風成循環(偏西風・貿易風で駆動される表層流の大規模環流)
黒潮(北太平洋西岸境界流。高温・高塩・速い。日本の気候に影響大)
エクマン輸送(風応力+コリオリ力→風向の90°右方向に海水輸送)
西岸強化(亜熱帯環流で西岸の海流が特に強くなる現象。黒潮・湾流が代表)

深掘り (背景・意義)

西岸強化はコリオリ力の緯度変化(ベータ効果)によって生じます。北太平洋の黒潮(日本)と北大西洋の湾流(ガルフストリーム)(北米東岸)はともに西岸強化の産物で、高緯度側へ熱を輸送して北欧・日本の気候を温めます。
海洋酸性化も重要なテーマです。大気中のCO₂が海水に溶けてH₂CO₃→HCO₃⁻→CO₃²⁻となり、pH が低下します。現在の海洋pHは約8.1(産業革命前:8.2)で、貝・珊瑚のCaCO₃骨格が溶けやすくなっています。
海洋の熱容量は大気の約1000倍あり、地球温暖化で増加した熱の約90%を海洋が吸収しています。海面水温の上昇は台風の強化や降水パターン変化につながります。

💡 ポイント
  • 海洋の層構造:混合層→水温躍層→深層
  • 水温躍層は物質・熱の交換を阻む
  • 風成循環:北半球=時計回り亜熱帯環流
  • 黒潮=北太平洋西岸境界流(暖流・速い)
  • エクマン輸送:風向の右90°方向(北半球)
  • 西岸強化:コリオリ力のβ効果で西岸が急流化
  • 海洋酸性化:CO₂吸収でpH低下

注意点 (混同しやすい)

黒潮(暖流・西岸)と親潮(寒流・東岸)を区別。② エクマン輸送は風向に対して右90°(北半球)。③ 水温躍層は層の境界で、それ自体が水層ではない。④ 西岸強化は東岸の海流(東流・寒流)とは対照的。

練習

  1. 北太平洋西岸を北上する強い暖流は何か。
  2. エクマン輸送では風向に対し北半球でどの方向に海水が輸送されるか。
  3. 水温が深さとともに急激に変化する層を何というか。
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このレッスンのQ&A

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