高校発展 / 海洋と大気の運動 4 / 6

エルニーニョ/ラニーニャと海洋大循環

エルニーニョ/ラニーニャと海洋大循環

海洋と大気は密接に連動しています。ENSO(エルニーニョ南方振動)と深海をめぐる大循環が地球の気候を調節しています。

基本知識

通常時、太平洋赤道域では貿易風が東から西へ吹き、暖かい海水が西太平洋に集まります。東太平洋ペルー沖では湧昇(深冷水が上がる)が活発で海面温度が低くなります。
エルニーニョは貿易風が弱まり、西太平洋の暖水が東へ広がって東太平洋の海面温度が平年より高くなる現象です。逆に貿易風が強まり東太平洋がさらに冷える現象をラニーニャといいます。両者を合わせてENSO(El Niño-Southern Oscillation)といい、4〜7年周期で交互に起こります。
海洋大循環(深層循環・熱塩循環)は、冷たく塩分の高い高密度の水が深海に沈み込み、全海洋を巡る千〜数千年規模の循環です。北大西洋のグリーンランド沖と南極周辺で深層水が形成されます。

📘 重要用語
エルニーニョ(東太平洋赤道域の海面水温が平年より高い状態。貿易風弱化)
ラニーニャ(東太平洋赤道域の海面水温が平年より低い状態。貿易風強化)
ENSO(エルニーニョ南方振動。4〜7年周期の海洋-大気結合振動)
湧昇(深冷水が表層に湧き出す現象。ペルー沖で顕著。漁場を形成)
熱塩循環(温度と塩分で決まる密度差で駆動される深層循環。数千年スケール)
大西洋南北循環(AMOC)(北大西洋の暖流→深層→南洋へ。欧州気候を温める)

深掘り (背景・意義)

ENSOは地球全体の気象にテレコネクション(遠隔連動)を通じて影響を与えます。エルニーニョ年は日本の冷夏・暖冬になりやすく、ラニーニャ年は猛暑・寒冬になりやすい傾向があります。また、インドネシア・オーストラリアでは干ばつ、ペルー・エクアドルでは豪雨となる典型パターンがあります。
熱塩循環は海洋の二酸化炭素吸収能力とも関係します。深層水が形成される際にCO₂が大量に深海に運ばれます。気候変動でグリーンランド氷床が融解すると淡水流入が増え深層水形成が弱まる恐れがあり、欧州気候を冷涼化させる可能性が議論されています。
日本近海では黒潮(北太平洋西岸境界流)とリマン海流(日本海西岸南下流)が交差し、豊富な漁場を形成します。黒潮の流路は数年〜十数年周期で変動します。

💡 ポイント
  • 通常:貿易風→西太平洋に暖水集積・東太平洋で湧昇
  • エルニーニョ:貿易風弱→東太平洋海温上昇
  • ラニーニャ:貿易風強→東太平洋海温低下
  • ENSO周期:4〜7年
  • 日本:エルニーニョ年=冷夏・暖冬 / ラニーニャ年=猛暑・寒冬
  • 熱塩循環は数千年スケール・CO₂深海輸送
  • AMOC弱化→欧州気候冷涼化リスク

注意点 (混同しやすい)

エルニーニョ(暖化)とラニーニャ(冷化)を逆にしない。② ENSOは海洋-大気結合現象で、大気単独でも海洋単独でも起こらない。③ 熱塩循環は風成循環(風で動く表層流)とは異なる深層流。④ 日本のエルニーニョ影響:冷夏・暖冬(傾向であり確定ではない)。

練習

  1. エルニーニョ発生時、貿易風の強さはどう変化するか。
  2. 熱塩循環の駆動力となる2つの要素は何か。
  3. ラニーニャ年の日本の夏の傾向を答えなさい。
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このレッスンのQ&A

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