DNAの構造と複製
遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)は二重らせん構造をもちます。細胞分裂前には正確に複製され、娘細胞へ同一の情報が引き継がれます。
基本知識
DNAの化学的構造: ヌクレオチド(塩基+デオキシリボース+リン酸)が3'→5'方向にリン酸ジエステル結合で連結したポリヌクレオチド鎖が2本、逆平行に向かい合い、塩基間の水素結合で二重らせんを形成する。塩基: A(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)。A-T間=水素結合2本、G-C間=水素結合3本。シャルガフの法則: A=T、G=C。
ワトソン・クリックモデル(1953): X線結晶解析データ(フランクリン)とシャルガフの法則から二重らせん構造を提唱。らせんの直径2 nm・ピッチ(1回転)3.4 nm・塩基対間距離0.34 nm。
DNAの複製(半保存的複製): ①ヘリカーゼが二本鎖を解きほぐし複製フォークを形成。②DNAポリメラーゼが鋳型鎖を3'→5'方向に読み、相補的な新鎖を5'→3'方向に合成。③DNAポリメラーゼは既存の3'末端が必要なため、プライマーゼがRNAプライマーを合成してから伸長開始。④リーディング鎖は連続合成、ラギング鎖はオカザキフラグメントとして不連続合成→DNAリガーゼで結合。⑤メセルソン・スタールの実験(1958)で半保存的複製が実証された(¹⁵N/¹⁴N標識)。
例題
メセルソン・スタールの実験でDNAの半保存的複製が証明された根拠を説明しなさい。
解答: ¹⁵N培地で育てた大腸菌(DNA全体が重い¹⁵N-¹⁵N型)を¹⁴N培地に移して1世代培養すると、密度勾配遠心でDNAが¹⁵N-¹⁴Nの中間密度の1本のバンドとして現れた。全保存的複製なら2本のバンド(重い+軽い)が現れるはずで、これが半保存的複製の証拠となった。
メセルソン・スタールの実験でDNAの半保存的複製が証明された根拠を説明しなさい。
解答: ¹⁵N培地で育てた大腸菌(DNA全体が重い¹⁵N-¹⁵N型)を¹⁴N培地に移して1世代培養すると、密度勾配遠心でDNAが¹⁵N-¹⁴Nの中間密度の1本のバンドとして現れた。全保存的複製なら2本のバンド(重い+軽い)が現れるはずで、これが半保存的複製の証拠となった。
ポイント
- 二重らせん=逆平行・A-T(2水素結合)・G-C(3水素結合)
- シャルガフの法則=A=T、G=C
- 半保存的複製=旧鎖1本+新鎖1本が娘DNA
- DNAポリメラーゼ=5'→3'方向のみ合成・プライマー必要
- ヘリカーゼ=二本鎖解きほぐし・複製フォーク形成
- オカザキフラグメント=ラギング鎖の不連続合成単位
- メセルソン・スタール実験=半保存的複製の実証
注意点
① DNAポリメラーゼは5'→3'方向にしか合成できない。鋳型鎖は3'→5'方向に読む。② プライマー(RNA)はDNAポリメラーゼが伸長を開始するために必要で、後でRNaseHで除去されDNAで埋められる。③ G-C塩基対の水素結合は3本でA-Tより強い→G+C含量が高いDNAは融解温度(Tm)が高い。
練習
- DNA二重らせんのA-T間とG-C間の水素結合の数をそれぞれ答えなさい。
- DNAの半保存的複製でラギング鎖が不連続に合成される理由を説明しなさい。
- メセルソン・スタールの実験で使用した2種類の窒素同位体を答え、実験結果を述べなさい。