高校発展 / 植物の生長と環境応答 1 / 6

植物ホルモンの種類とはたらき (オーキシン・ジベレリン等)

植物ホルモンの種類とはたらき (オーキシン・ジベレリン等)

植物は動物の神経系をもちませんが、植物ホルモンという化学物質によって成長・発生・環境応答を精密に調節しています。主要なホルモンの種類と作用を理解しましょう。

基本知識

オーキシン(IAA=インドール酢酸): 茎頂分裂組織・若い葉・種子で合成。先端から基部方向へ極性輸送(PIN輸送体)。細胞壁のpHを低下させて軟化→細胞伸長促進。効果は濃度依存性: 茎では低濃度で促進・高濃度で抑制。根は感受性が高く低濃度でも抑制になりうる。屈性の主役。
ジベレリン(GA): 茎の伸長促進・種子発芽促進(アミラーゼ誘導・糊粉層)・果実の肥大・矮性植物の表現型は GA 不足/受容体変異が多い。
サイトカイニン: 根で合成・細胞分裂促進・老化抑制(葉緑体維持)。オーキシン/サイトカイニン比が器官分化を決定(高比→根・低比→シュート)。
エチレン(気体ホルモン): 果実成熟促進・落葉・花の老化。三重応答(暗所で: 茎の伸長抑制・肥厚・横向き成長)。一個の熟したリンゴが周囲の果実を早熟させるのはエチレン拡散によるもの。
アブシジン酸(ABA): 気孔閉鎖(干ばつ応答)・種子休眠誘導・発芽抑制。水ストレス時に急増。
その他: ブラシノステロイド(ステロイド系、細胞伸長・分化)・サリチル酸(病害抵抗誘導)・ジャスモン酸(傷害応答・昆虫抵抗性)。

例題
オーキシンが茎の屈光性に関与するしくみを、一側照射と細胞伸長の関係から説明しなさい。
解答: 一側照射を受けた茎頂では、オーキシンが光と反対側(陰側)へ横方向に再分布する。陰側の細胞は高濃度オーキシンにより細胞壁の酸性化が起こって細胞が大きく伸長し、光側より陰側の茎が長くなる。この不均等な伸長により茎は光の方向へ曲がる(正の屈光性)。
ポイント
  • オーキシン(IAA)=細胞伸長促進・頂芽優勢・屈性の主役
  • ジベレリン=茎伸長・発芽促進・アミラーゼ誘導
  • サイトカイニン=細胞分裂促進・老化抑制
  • エチレン(気体)=果実熟成・落葉・三重応答
  • アブシジン酸(ABA)=気孔閉鎖・種子休眠・水ストレス応答
  • オーキシン/サイトカイニン比=根(高比)・シュート(低比)分化決定
  • サリチル酸=病害抵抗・ジャスモン酸=昆虫抵抗性

注意点

① 頂芽優勢: 頂芽のオーキシンが側芽へ輸送され高濃度になることで側芽の成長が抑制される現象。頂芽を切除すると側芽が伸長する。② エチレンは気体のホルモンで細胞間・植物間も拡散しうる。③ ABAは「abscisic acid(アブシジン酸)」で、乾燥ストレス下での気孔閉鎖で最も重要な役割をもつ。

練習

  1. 頂芽優勢とはどのような現象か、オーキシンの役割を含めて説明しなさい。
  2. アブシジン酸(ABA)が乾燥ストレス時に気孔を閉じるメカニズムを説明しなさい。
  3. エチレンの「三重応答」とは何か。また果実の成熟とエチレンの関係を述べなさい。

このレッスンのQ&A

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