動物のコミュニケーション ミツバチのダンス・鳥のさえずり等
動物は仲間に情報を伝えるため、音声・化学物質・視覚・振動など多様な信号を使います。中でもミツバチの8の字ダンスは言語に匹敵するほど精密な情報伝達として有名です。コミュニケーションの進化的背景と代表例を学びましょう。
基本知識
ミツバチの言語(フォン・フリッシュ): 蜜源を発見した偵察バチが巣内で踊りによって方向・距離・量を仲間に伝える。①円形ダンス=近距離(100 m以内)の蜜源を知らせる。②8の字ダンス(ワグルダンス)=遠距離(100 m以上)の蜜源を知らせる。直進部分の角度が太陽に対する蜜源の方向を、持続時間が距離を符号化する。垂直の巣板では重力方向が太陽方向の代わりとなる。
鳥のさえずり(Song): 縄張り宣言・配偶者誘引に使われる複雑な音声。感受期に成鳥のさえずりを聞くことで発達する(社会的学習の要素をもつ生得的行動)。雄特有(多くの場合)。テンプルスズメでの実験から「さえずりの発達」は鳴き声のテンプレートをもとに練習を繰り返すことで洗練される。
化学的コミュニケーション(フェロモン): 種内で特定の行動・生理変化を誘発する化学物質。性フェロモン(交尾誘引・蛾など)・警報フェロモン(アリの攻撃招集)・道標フェロモン(アリの食物源への道筋)・集合フェロモン。
その他のコミュニケーション手段: 視覚的ディスプレイ(クジャクの羽根広げ=性選択のシグナル)・電気信号(弱電魚)・生物発光・接触(互いのグルーミング)。警告色(毒をもつ生物の赤・黄・黒=捕食者への視覚的警告)。
ミツバチの8の字ダンス(ワグルダンス)が蜜源の方向と距離をどのように符号化しているかを説明しなさい。
解答: 8の字の直進部分(ワグル区間)の角度が、重力方向(下方)を基準として太陽の方向に対する蜜源の方向を示す。例えばワグル区間が垂直上方なら、蜜源は太陽の方向にある。ワグル区間の持続時間(または反復速度)が蜜源までの距離を示し、長い時間ほど遠い蜜源を意味する。これにより方向・距離の2次元情報が正確に伝達される。
- 円形ダンス=近距離(100 m以内)の蜜源
- 8の字ダンス=遠距離・角度=方向・時間=距離
- フォン・フリッシュ=ミツバチ言語の解読・ノーベル賞
- 鳥のさえずり=縄張り・配偶者誘引・感受期に発達
- フェロモン=種内化学コミュニケーション
- 警告色=毒をもつ生物の赤・黄・黒(捕食者への警告)
- コミュニケーションは送り手と受け手の双方の利益
注意点
① ワグルダンスの角度は「重力方向=太陽方向」として読み替えられる(暗い巣板内でも機能する)。② フェロモンは種内にのみ作用する点がホルモン(体内化学物質)と異なる。③ 鳥のさえずりは生得的テンプレートをもちながら社会的学習(模倣)によって洗練される点でユニーク。
練習
- ミツバチの8の字ダンスにおいて、蜜源の方向と距離がどのように伝えられるか説明しなさい。
- フェロモンとホルモンの違いを2点挙げなさい。
- 警告色の進化を自然選択の観点から説明しなさい。