高校 / 法と政治のしくみ 3 / 6

国会・内閣・裁判所

国会・内閣・裁判所

民主主義国家では、権力の集中による専制を防ぐために三権を分立させています。日本は国会(立法権)・内閣(行政権)・裁判所(司法権)の三権分立を採用しています。各機関の役割と相互の抑制・均衡の仕組みを学びましょう。

基本知識

三権分立はモンテスキューが『法の精神』(1748年)で体系化した原理です。国会は「国権の最高機関」(第41条)であり、唯一の立法機関です。衆議院と参議院の二院制で、衆議院は参議院より強い権限を持ちます(衆議院の優越)。内閣は行政権を担い、内閣総理大臣と国務大臣で構成されます。内閣は国会の信任に基づいて成立し、衆議院の内閣不信任決議が可決されると10日以内に総辞職か衆議院解散を選択しなければなりません。これを議院内閣制といいます。裁判所は司法権を持ち、最高裁判所と下級裁判所で構成されます。裁判官は司法権の独立のもと、良心に従い独立して職権を行使します(第76条)。最高裁判所は法律・命令・処分が憲法に適合するかを審査する違憲審査権を持ち、「憲法の番人」と呼ばれます。

📘 重要用語
三権分立(立法・行政・司法の三権を分立させ相互に抑制・均衡させる原則)
衆議院の優越(予算・条約・内閣総理大臣指名などで衆議院が参議院より優先される)
議院内閣制(内閣が国会の信任に基づいて成立する制度。日本・イギリスが採用)
違憲審査権(裁判所が法律・命令等の合憲性を審査する権限。具体的事件の裁判に付随して行使)
司法権の独立(裁判官が外部の干渉を受けず、良心に従い判断する原則)
三審制(第一審→控訴→上告の3段階で公正な裁判を保障する制度)

深掘り (背景・意義)

三権分立は「権力は腐敗する」という人間への不信から生まれた制度的知恵です。アメリカは大統領制を採り、大統領は議会から独立した行政権を持つのに対し、日本の議院内閣制は内閣と国会が密接に結びついています。日本では1999年から裁判員制度が議論され、2009年に施行されました。市民が刑事裁判に参加することで司法への民主的コントロールを実現しています。また、最高裁判所の裁判官は国民審査(衆議院選挙と同時実施)によって国民が罷免の可否を判断できます。これらの制度が三権の抑制・均衡を実際に機能させています。

💡 ポイント
  • 国会=「国権の最高機関」かつ「唯一の立法機関」(第41条)
  • 内閣不信任決議→10日以内に総辞職 or 衆議院解散
  • 衆議院の優越:予算先議・内閣不信任決議・条約・法案再議決(3分の2)
  • 最高裁は「憲法の番人」:法律・命令・処分の違憲審査
  • 裁判員制度は2009年施行、一定の刑事裁判に市民が参加
  • 最高裁判事の国民審査は衆議院選挙と同時実施
  • 日本は具体的事件に付随した違憲審査(付随的審査制)を採用

注意点 (混同しやすい)

議院内閣制大統領制の違い:議院内閣制(日本・英国)は内閣が議会の信任に依存するが、大統領制(米国)は大統領が議会から独立している。② 国会の召集の種類:常会(毎年1月召集)・臨時会・特別会を区別する。③ 法律の違憲審査は最高裁が最終権限を持つが、下級裁判所も行使できる。④ 衆議院の解散は内閣の専権ではなく、天皇が内閣の助言と承認により行う(第7条)。

練習

  1. 「衆議院の優越」が認められている理由と、具体的にどのような場面で優越が働くか説明してください。
  2. 「議院内閣制」と「大統領制」の違いを、行政権と立法権の関係に着目して比較してください。
  3. 最高裁判所が「憲法の番人」と呼ばれる理由を、違憲審査権の内容に触れて説明してください。
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