日本国憲法と基本的人権
日本国憲法は1946年11月3日に公布、1947年5月3日に施行されました。この憲法は三大原理を柱として、国民の権利と自由を幅広く保障しています。ここでは憲法の構造と人権の分類を整理します。
基本知識
日本国憲法の三大原理は、①国民主権(前文・第1条)、②基本的人権の尊重(第11条・第97条)、③平和主義(前文・第9条)です。基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」(第11条)とされています。人権の種類は次のように分類できます。自由権は国家が個人の生活に干渉しない権利で、精神の自由(思想・良心の自由、表現の自由など)・身体の自由・経済活動の自由があります。社会権は国家に積極的な保障を求める権利で、生存権(第25条「健康で文化的な最低限度の生活」)・教育を受ける権利・勤労の権利・労働基本権が含まれます。参政権は政治に参加する権利(選挙権・被選挙権・国民投票権)です。また請求権(裁判を受ける権利・国家賠償請求権など)も保障されています。人権には他者の人権との調整のため「公共の福祉」による制約があります。
三大原理(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)
自由権(国家が個人の自由を侵害しない権利。精神・身体・経済の自由)
社会権(国家に積極的な保障を求める権利。生存権・教育を受ける権利など)
生存権(憲法第25条。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)
平和主義(第9条。戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認)
公共の福祉(人権相互の矛盾・衝突を調整するための原理)
深掘り (背景・意義)
日本国憲法は第二次世界大戦の反省を踏まえ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指導のもとで制定されました。特に第9条の戦争放棄は世界的にも特異な規定として注目されています。社会権は20世紀に入って保障が拡充した「新しい人権」の先駆けで、1919年のドイツ・ワイマール憲法が初めて明文化しました。近年はプライバシーの権利・環境権・知る権利など、憲法に明文のない「新しい人権」も第13条の幸福追求権を根拠として認められています。憲法改正には第96条の定める厳格な手続き(各議院の総議員の3分の2以上の賛成+国民投票で過半数)が必要です。
- 公布11月3日(文化の日)・施行5月3日(憲法記念日)
- 自由権は「国家からの自由」、社会権は「国家による自由」と区別される
- 第25条の生存権はワイマール憲法(1919年)が先駆け
- 新しい人権(プライバシー権・環境権・知る権利)は第13条・第25条が根拠
- 憲法改正:衆参各院の総議員3分の2以上の賛成→国民投票で過半数
- 基本的人権は「永久不可侵」だが公共の福祉による制約がある
- 第9条:①戦争放棄 ②戦力不保持 ③交戦権の否認
注意点 (混同しやすい)
① 公布日と施行日を混同しない:公布は1946年11月3日、施行は1947年5月3日。② 自由権と社会権の方向性:自由権は「国家が干渉しない」消極的権利、社会権は「国家が積極的に保障する」積極的権利。③ 生存権の裁判上の効力:第25条は抽象的権利規定であり、具体的な給付を裁判で直接請求することは難しい(朝日訴訟・堀木訴訟で確認)。④ 参政権は日本国民のみに認められ、外国人には原則として保障されない。
練習
- 日本国憲法の三大原理を挙げ、それぞれが定められている主な条文を示してください。
- 「自由権」と「社会権」の違いを、国家との関係に着目して説明してください。
- 「新しい人権」とはどのような権利ですか。具体例を2つ挙げ、その憲法上の根拠を述べてください。