高校 / 持続可能な社会の形成 3 / 6

少子高齢社会と社会保障

少子高齢社会と社会保障

日本は世界でも類を見ない速さで少子高齢化が進んでいます。これは社会保障制度の持続可能性に深刻な課題をもたらしており、将来世代のことを考えた社会設計が求められています。

基本知識

日本の合計特殊出生率は2023年に0.97と過去最低を更新し、人口は2008年の約1億2808万人をピークに減少しています。65歳以上の高齢化率は2023年時点で約29%で、世界最高水準です。少子高齢化によって生じる主な問題は、①労働力不足、②社会保障費の増大、③現役世代の負担増加です。
日本の社会保障制度は①社会保険(年金・医療・介護・雇用・労災)、②公的扶助(生活保護)、③社会福祉(障害者・児童等への支援)、④公衆衛生の四本柱から成ります。なかでも規模が大きいのが年金医療です。年金は「現役世代が高齢者を支える」賦課方式を採用しており、少子高齢化により現役世代の負担が増大します。
将来世代との公平な負担の分配を考える概念を世代間倫理(世代間公正)といいます。社会保障の「給付と負担」のバランスをどう保つかは、現代日本の最重要政策課題の一つです。

📘 重要用語
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの平均数。人口維持には約2.07が必要)
高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合。21%超で「超高齢社会」)
賦課方式(現役世代の保険料で現在の高齢者の年金を賄う方式)
社会保険(年金・医療・介護・雇用・労災の5種類からなる社会保障の柱)
世代間倫理(現在世代と将来世代の間の公平な負担・受益の配分に関する倫理原則)
介護保険(2000年創設。40歳以上が保険料を払い、要介護認定者がサービスを受ける)

深掘り (背景・意義)

日本の年金制度は1961年に「国民皆年金」が実現し、すべての国民が何らかの公的年金に加入する体制が整いました。しかし少子高齢化の進展により、2004年の年金改革でマクロ経済スライド(物価・賃金上昇よりも年金額の伸びを抑制する仕組み)が導入されました。医療費も高齢化により増大しており、2025年問題(団塊世代が75歳以上になる)と2040年問題(団塊ジュニア世代が65歳以上になる)が財政を圧迫すると予測されています。
社会保障の持続可能性を高めるためには、①女性・高齢者・外国人労働力の活用、②デジタル化による効率化、③給付削減と負担増のバランス、④予防医療の充実など多角的なアプローチが必要です。また世代間倫理の観点から、現在世代が借金(国債)で社会保障を賄うことは将来世代への負担転嫁となるという指摘もあります。

💡 ポイント
  • 高齢化率7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超で「超高齢社会」
  • 人口維持に必要な合計特殊出生率は約2.07
  • 賦課方式:現役世代→高齢者を支える。少子化で現役の負担増加
  • 社会保険5種:年金・医療・介護・雇用・労災
  • 介護保険は2000年創設。40歳以上が加入
  • 2025年問題:団塊世代全員が後期高齢者(75歳以上)に

注意点 (混同しやすい)

賦課方式(現役世代が高齢者を支える)と積立方式(個人が将来の自分の年金を積み立てる)を区別する。② 社会保険(加入義務・保険料拠出)と公的扶助(税による最低生活保障=生活保護)は異なる制度。③ 高齢化社会(7%)高齢社会(14%)超高齢社会(21%)の三段階の閾値を正確に覚える。④ 合計特殊出生率は「出生率」と異なり、年齢構成の影響を除いた指標である。

練習

  1. 少子高齢化が社会保障制度に与える影響を、年金制度の「賦課方式」に着目して説明しなさい。
  2. 「世代間倫理」とはどのような概念か。社会保障との関連で説明しなさい。
  3. 社会保障制度の持続可能性を高めるために考えられる対策を二つ挙げ、それぞれの内容を述べなさい。
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