資源・エネルギー問題
現代文明は大量のエネルギーを消費していますが、化石燃料には埋蔵量の限界があり、環境への負荷も大きいです。持続可能なエネルギー社会をどう実現するか、その課題と可能性を考えましょう。
基本知識
現在の世界のエネルギーは石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料に大きく依存しています。化石燃料は①埋蔵量に限りがある(枯渇性資源)、②燃焼時にCO₂を排出し温暖化を加速する、③産出国が偏在しているため価格変動や供給不安が生じる、という問題を抱えています。
化石燃料への依存を減らす手段として、再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス等)の普及が進んでいます。再生可能エネルギーは枯渇せず、CO₂排出が少ないという利点がある一方、発電量が天候に左右される(変動性)、単位面積あたりのエネルギー密度が低い、初期コストが高いという課題もあります。
原子力はCO₂排出が少なく大量発電が可能ですが、放射性廃棄物の処理・炉心溶融事故(2011年福島第一原発事故)のリスクがあります。各国はエネルギーの安定供給・環境負荷・コストのバランスをどう取るかというエネルギーミックスの課題に直面しています。また、エネルギー資源を安定的に確保する能力をエネルギー安全保障と呼びます。
化石燃料(石油・石炭・天然ガス。枯渇性でCO₂排出源)
再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱等。枯渇しない自然由来のエネルギー)
エネルギーミックス(複数のエネルギー源を組み合わせて最適な電源構成を目指すこと)
エネルギー安全保障(エネルギー資源を安定的・合理的価格で確保できる能力)
FIT(固定価格買取制度)(再生可能エネルギーで発電した電力を一定価格で買い取ることを義務付ける制度)
3E+S(日本のエネルギー政策の基本:安定供給・経済効率・環境適合+安全性)
深掘り (背景・意義)
1973年の第1次石油危機(オイルショック)は、OAPECの石油禁輸によって西側先進国の経済が大打撃を受けた出来事です。日本はこれを機に省エネ技術と石油依存脱却を推進しました。2011年の東日本大震災・福島原発事故後、日本は稼働中の原発を停止し、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの大幅拡大(FIT制度導入)に舵を切りました。
現在、世界は「エネルギートランジション(転換)」の時代にあります。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、太陽光・風力の発電コストは急激に低下し、多くの国で化石燃料より安くなっています。一方、電力の安定供給のためには、蓄電技術・スマートグリッド・水素エネルギーなどの技術革新が不可欠です。資源小国である日本にとってエネルギー安全保障は特に重要な課題です。
- 化石燃料の三つの問題:枯渇性・CO₂排出・産地偏在による供給不安
- 再生可能エネルギーのデメリット:変動性・低エネルギー密度・高初期コスト
- 日本のエネルギー政策基本方針:3E+S(安定供給・経済効率・環境適合+安全性)
- FIT制度は2012年に日本で導入。太陽光発電普及の起爆剤に
- 1973年石油危機が省エネ国家・日本誕生のきっかけ
- 原子力は低炭素だがリスク管理と廃棄物問題が課題
注意点 (混同しやすい)
① 再生可能エネルギーと新エネルギー:新エネルギーは再生可能エネルギーの一部(太陽光・風力等)を指す日本独自の概念で、水力は含まない場合が多い。② 省エネ(使用量を減らす)と再生可能エネルギー(供給の低炭素化)は異なるアプローチ。③ 原子力は低CO₂だが再生可能エネルギーではない(ウランは枯渇性資源)。④ エネルギー安全保障は軍事安全保障とは異なり、資源の安定確保に関わる概念。
練習
- 化石燃料が持つ三つの問題点を挙げ、それぞれ説明しなさい。
- 再生可能エネルギーの利点と課題を、それぞれ二点ずつ述べなさい。
- エネルギー安全保障とは何か。日本にとってなぜ重要な課題かを述べなさい。