呼吸と蒸散
植物は光合成だけしているわけではありません。動物と同じく呼吸もしていて、葉から蒸散もしています。
基本知識
呼吸 (respiration) は、有機物を分解してエネルギーを取り出す反応です:有機物 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水 + エネルギー
植物は昼も夜も呼吸しています。葉だけでなく根・茎・花・果実すべての細胞で行われています。
昼間は光合成 > 呼吸のためCO₂が差し引き吸収され、夜は呼吸のみのためCO₂を放出します。
蒸散 (transpiration) は、植物体内の水が水蒸気となって気孔から放出される現象です。蒸散には次の意義があります:
① 根からの水の吸い上げ(蒸散流)を促す
② 植物体の温度を下げる(気化熱)
③ 葉に運ばれた養分を全体に供給する力になる
蒸散は気温が高い・湿度が低い・風がある・光が当たる条件で活発になります。
呼吸 (respiration)(有機物と酸素から CO₂ と水とエネルギーを得る反応)
蒸散 (transpiration)(葉の気孔から水が水蒸気として放出される現象)
蒸散流(蒸散によって生じる、根から葉への水の流れ)
塩化コバルト紙(水に触れると青→赤(桃色)に変わる紙。蒸散の検出に使用)
ワセリン(気孔をふさぐ実験で使用するろう状物質)
気化熱(水が蒸発するとき周囲から奪う熱。打ち水と同じ原理)
深掘り (背景・意義)
蒸散量の調べ方の代表的な実験:
① 葉の表側だけにワセリンを塗ったA、裏側だけにワセリンを塗ったB、塗らないC、葉を全部取ったDを比較。
② 水の減少量を測ると、一般に C > A > B > D となります。これは「気孔は裏側に多い」を裏付けます。
③ 葉の裏側からの蒸散量は (C - A)、葉の表側からの蒸散量は (C - B) という引き算で計算します。
大きな樹木1本は、1日に数百リットルの水を蒸散させていることが知られています。森林は地表温度を下げ、雨を降らせる水循環の重要な要素です。蒸散がなければ、土壌の水分は根から葉まで届かないため、植物自身も生きられません。
呼吸はミトコンドリアで行われ、光合成の葉緑体とは別の器官です。これら2つは植物細胞に共存しています。
- 呼吸: 有機物 + O₂ → CO₂ + 水 + エネルギー
- 呼吸は昼夜・全器官で行われる
- 蒸散: 気孔から水蒸気が放出される
- 蒸散の意義: 吸水・冷却・養分供給
- 気孔は葉の裏側に多い→裏面の蒸散量が大きい
- 蒸散が活発: 高温・低湿度・風・日光
- 呼吸はミトコンドリア、光合成は葉緑体
注意点 (混同しやすい)
① 呼吸(酸素消費・CO₂放出)と光合成(CO₂吸収・酸素放出)は逆反応。② 呼吸(気体交換)と蒸散(水蒸気放出)は別の現象。どちらも気孔を通る。③ 蒸散実験では「ワセリンを塗った面が蒸散しない面」。④ 植物は呼吸を止めない。光合成だけしていると思いがち。
練習
- 植物は昼夜どちらに呼吸を行うか。
- 蒸散の意義を1つ挙げなさい。
- 葉の表側だけにワセリンを塗った植物と何も塗らない植物の蒸散量の差は何を表すか。