物質の分解
1種類の物質が2種類以上の別の物質に変化する化学変化を分解といいます。熱分解・電気分解の仕組みと代表例を学びます。
基本知識
分解は1種類の物質が複数の別の物質に変化する反応です。エネルギーを加えると結合が切れて分解が起きます。
① 熱分解(加熱による分解)
・炭酸水素ナトリウムの熱分解: 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
(炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素)
・酸化銀の熱分解: 2Ag2O → 4Ag + O2
(酸化銀→銀+酸素)
② 電気分解(電流による分解)
・水の電気分解: 2H2O → 2H2 + O2
陰極(−)から水素・陽極(+)から酸素が発生。体積比 H2:O2 = 2:1
・塩化銅水溶液の電気分解: CuCl2 → Cu + Cl2
陰極に銅が析出、陽極から塩素ガス発生
分解(1種類の物質が2種類以上の物質に変化する化学変化)
熱分解(熱を加えることで起こる分解)
電気分解(電流を流すことで起こる分解)
陰極・陽極(陰極(−)は電子が流れ込む側。水の電気分解で水素が発生)
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、重曹。加熱で分解しCO2発生)
酸化銀(Ag2O。加熱で銀と酸素に分解)
深掘り
炭酸水素ナトリウムの熱分解は中学化学の頻出実験です。実験のポイント:
・試験管の口を少し下げて加熱する(生成した水が高温部に流れて試験管が割れるのを防ぐ)
・発生した気体を石灰水に通すと白く濁る → 二酸化炭素の確認
・残った白い粉(炭酸ナトリウム Na2CO3)はフェノールフタレイン溶液で濃い赤色になる(炭酸水素ナトリウムより強いアルカリ性)
水の電気分解では、水に水酸化ナトリウムや硫酸を少量加えて電気を通しやすくします。集まる気体の体積比 H2:O2 = 2:1 は、水の化学式 H2O の水素と酸素の原子数比と一致していて、原子・分子の考え方の正しさを支持しています。
- 分解=1種類→2種類以上の物質
- 炭酸水素ナトリウム加熱→炭酸ナトリウム+水+CO2
- CO2の確認=石灰水が白濁
- 水の電気分解=陰極から H2、陽極から O2
- H2:O2 の体積比=2:1
- 酸化銀の熱分解→銀(白く光る)+酸素
- 試験管の口を下げて加熱するのは水の逆流防止
注意点
① 水の電気分解で陰極(−)から水素・陽極(+)から酸素が逆にならないよう注意。② 炭酸水素ナトリウム(重曹)と炭酸ナトリウムは別の物質。加熱後に残るのは炭酸ナトリウム。③ 分解は化学変化の1種で、物理変化(状態変化)とは異なる。④ 体積比2:1は純粋な水の場合。実験では電解質を溶かして電気を通しやすくしても比率は変わらない。
練習
- 炭酸水素ナトリウムを加熱したときに発生する気体を確認する方法を答えなさい。
- 水の電気分解で、陰極と陽極から発生する気体をそれぞれ答えなさい。
- 酸化銀を加熱したときの化学反応式を書きなさい。