高校発展 / 芳香族化合物 3 / 6

芳香族カルボン酸とエステル

芳香族カルボン酸とエステル

ベンゼン環に-COOHが直接ついた芳香族カルボン酸(安息香酸等)と、そのエステル類は、医薬・染料・ポリマーの基幹原料です。

基本知識

主な芳香族カルボン酸:
安息香酸 C6H5-COOH(融点122℃、白色結晶、保存料Na塩) - トルエンの酸化で得る
サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)
フタル酸(o-ベンゼンジカルボン酸) - 加熱で無水フタル酸(分子内環化)、ポリエステル(PET)・染料原料
イソフタル酸(m-)、テレフタル酸(p-) - PET原料(テレフタル酸+エチレングリコール)

合成法:
トルエンの酸化: C6H5-CH3 + 3[O] → C6H5-COOH + H2O(KMnO4等、側鎖が酸化される)
キシレン(ジメチルベンゼン)の酸化: p-キシレン→テレフタル酸

エステル化と医薬:
アスピリン(アセチルサリチル酸): サリチル酸+無水酢酸 → サリチル酸のOH側がアセチル化、解熱鎮痛抗炎症作用。
サリチル酸メチル: サリチル酸+メタノール → COOH側がメチルエステル化、湿布薬。
パラベン(p-ヒドロキシ安息香酸エステル) - 化粧品・食品の保存料(メチル/エチル/プロピル/ブチル)。

📘 重要用語・公式
安息香酸(C6H5-COOH、保存料・染料原料)
フタル酸/無水フタル酸(o-ベンゼンジカルボン酸、ポリエステル原料)
テレフタル酸(p-、PET=ペットボトルの原料)
アスピリン(アセチルサリチル酸、世界初の合成医薬)
サリチル酸メチル(湿布薬、トウブツの香り)
PET(ポリエチレンテレフタラート、ペットボトル・繊維)

深掘り (原理・応用)

PET(ポリエチレンテレフタラート): テレフタル酸とエチレングリコールHO-CH2-CH2-OHの縮合重合。ペットボトル、ポリエステル繊維(衣料・断熱材)、フィルム(磁気テープ、X線フィルム)、エンジニアリングプラスチック等、現代生活の基幹素材。リサイクル可能。
アスピリンの歴史: 古代から柳の樹皮(Salix=サリックス)が解熱に使われ、有効成分サリチル酸が単離されたのが19世紀。サリチル酸は胃腸障害が強かったが、1897年バイエル社のホフマンがアセチル化して副作用を軽減、1899年アスピリンとして発売。20世紀最も売れた薬の一つ。現在は抗血小板作用の低用量アスピリンとして心血管疾患予防にも使用。
合成染料: 1856年パーキンによるモーブ(初の合成染料、アニリン由来)以来、芳香族化合物は染料化学の中心。アゾ染料(-N=N-結合、後の講座参照)、アントラキノン染料、インディゴ(藍)など。

💡 ポイント
  • 安息香酸C6H5COOH、サリチル酸、フタル酸が代表
  • トルエンの側鎖酸化で安息香酸
  • フタル酸は加熱で無水フタル酸(5員環無水物)
  • テレフタル酸+エチレングリコール=PET
  • アスピリン=サリチル酸+無水酢酸でOH側アセチル化
  • サリチル酸メチル=COOH側メチル化(湿布)
  • パラベン=食品/化粧品保存料

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

安息香酸はベンゼン環の-COOH。脂肪族カルボン酸より結晶性が高い(融点122℃)。② サリチル酸のアスピリン化は-OHのアセチル化(エステル形成)、サリチル酸メチル化は-COOHのエステル化。同じサリチル酸から異なる位置のエステルで全く違う薬になる。③ 無水フタル酸はオルト位の2つの-COOHが脱水して5員環無水物。テレフタル酸はパラ位のため分子内無水化できない(直線分子→ポリマーの剛直骨格に有利)。

練習

  1. トルエンを過マンガン酸カリウム酸性溶液で酸化したときの反応式と生成物を書け。
  2. サリチル酸からアスピリンとサリチル酸メチルを合成する反応式をそれぞれ書け。
  3. PETの合成反応式(モノマー2種類の縮合重合)を構造式で示せ。
🔒

このレッスンはログインが必要です

レッスン3以降を学習するにはアカウントが必要です。
無料で登録できます。

無料でアカウントを作る ログイン

このレッスンのQ&A

読み込み中...