相対速度と合成速度
観測者の立場によって速度の見え方が異なります。相対速度と速度の合成を理解しましょう。
基本知識
相対速度 は、ある物体から見た他の物体の速度です。
物体 A の速度を vA、物体 B の速度を vB とすると、A から見た B の相対速度は:v_AB = vB - vA
(観測者 A の速度を引く)
同じ方向に進む場合: v_AB = vB - vA(差が小さくなる)
逆方向に進む場合: v_AB = vB - vA(大きさが加算)
速度の合成 は、複数の速度を合わせたときの実際の速度です。直線上なら単純な加減算、2次元ならベクトル和(平行四辺形の法則)を使います。たとえば流れる川を横切るボートの速度合成では、ボート自体の速度ベクトルと川の流れのベクトルを合成して実際の進行方向と速さを求めます。
相対速度 (relative velocity)(ある観測者から見た他の物体の速度)
v_AB = vB - vA(A から見た B の相対速度の公式)
速度の合成(複数のベクトルを足し合わせた合速度)
平行四辺形の法則(2つのベクトルを辺とする平行四辺形の対角線が合ベクトル)
ガリレオ変換(速度の加算則。古典力学での座標変換)
合速度(複数の速度を合成した結果の速度)
深掘り (背景・意義)
相対速度の概念は日常生活で頻繁に登場します。高速道路を同じ方向に走る車同士はゆっくり相対移動、逆走する車は相対速度が大きく危険です。
電車の中でボールを投げるとき、地面から見た速度 = 電車の速度 + ボールの速度(電車内での速度)。これが速度の合成です。
光速 c に近い速度では、この古典的な「速度の加算則」は成り立たず、アインシュタインの特殊相対性理論の速度合成則が必要になります。しかし日常的な速度(v ≪ c)では古典的な加算則が十分な精度を持ちます。
2次元での速度合成では、ピタゴラスの定理や三角関数が必要になります。川を渡るボートの実際の速さは √(v_boat² + v_river²) (垂直に横切る場合)で求められます。
- A から見た B の相対速度 = vB - vA
- 同方向: 相対速度 = 速度の差
- 逆方向: 相対速度の大きさ = 速度の和
- 速度の合成 = ベクトルの和(平行四辺形則)
- 1次元: 符号に注意して足し引き
- 2次元: ピタゴラスや三角関数を使う
- 地面基準での速度 = 合成速度
注意点 (混同しやすい)
① 「A から見た B」の相対速度は vB - vA。引き算の順序を逆にしない。② 相対速度と合成速度は逆の操作。相対速度は「引く」、合成は「足す」。③ 1次元で逆向きのとき、符号を正しく設定してから引き算する。④ 問題が「地面から見て」か「電車から見て」かで求める速度が異なる。
練習
- 東向きに 60 km/h で走る電車 A と、同じく東向きに 40 km/h で走る電車 B がある。A から見た B の相対速度を求めなさい。
- 東向きに 60 km/h の A と、西向きに 40 km/h の B がすれ違う場合、A から見た B の相対速度を求めなさい。
- 静水での速さ 4 m/s のボートが、秒速 3 m/s で流れる川を垂直に横切ろうとしている。地面から見たボートの合速度の大きさを求めなさい。