高校発展 / 熱力学 3 / 6

熱力学第2法則とエントロピー

熱力学第2法則とエントロピー

エネルギーは保存されても、自然なプロセスには方向性があります。熱力学第2法則とエントロピーの概念で「不可逆性」を理解します。

基本知識

熱力学第2法則には複数の表現があります(等価):
クラウジウスの表現: 熱は低温体から高温体へ自然には移動しない
ケルビン-プランクの表現: 一つの熱源から熱を吸収してすべて仕事に変換するサイクルは不可能(第2種永久機関の否定)

エントロピー S は系の「乱雑さ(無秩序度)」の尺度です。
可逆変化での微小エントロピー変化: dS = dQ/T
エントロピー増大の法則: 孤立系ではエントロピーは増加するか変わらない(ΔS ≥ 0)。
可逆変化: ΔS = 0、不可逆変化: ΔS > 0

📘 重要用語
熱力学第2法則(自然プロセスの方向性を定める法則。可逆・不可逆の概念の基礎)
エントロピー S [J/K](系の乱雑さ・無秩序度の尺度。dS = dQ/T)
可逆変化 / 不可逆変化(逆過程が完全に実現できる/できない変化)
熱機関の効率 η(η = W/QH = 1 − QC/QH。W: 仕事,QH: 高温吸熱,QC: 低温放熱)
第2種永久機関(1つの熱源からすべて仕事を取り出し続ける仮想機関。実現不可能)

深掘り (背景・意義)

ボルツマンは統計力学的にエントロピーを S = kB ln W(kB: ボルツマン定数,W: 微視的状態数)と定義しました。これにより「ガスが容器の半分に自然に集まる」確率が天文学的に小さいことが数式で示されます。
エントロピー増大則は時間の矢の根拠とも言われます。物理の基本法則の多くは時間反転対称ですが、第2法則だけが時間の方向を与えます。
情報理論(シャノンのエントロピー)、ブラックホールのベッケンシュタイン-ホーキングエントロピーなど、エントロピーは物理の多くの分野に現れます。

💡 ポイント
  • 第1法則=エネルギー保存、第2法則=変化の方向性
  • 熱は自然に高温→低温へしか移らない
  • エントロピー増大: 孤立系では ΔS ≥ 0
  • 可逆変化: ΔS = 0(理想的な極限)
  • 第2種永久機関は熱力学第2法則が否定する

注意点 (混同しやすい)

① エントロピー増大は孤立系に成り立つ。開放系(冷蔵庫など)は局所的にエントロピーを減らせるが、外部を含めると増加する。② 第2法則は第1法則を含まない(方向性の話)。③ 「不可逆=エントロピー増大」、「可逆=エントロピー変化なし」の対応を明確に。④ dS = dQ/T は可逆変化でのみ厳密に成立する。

練習

  1. 熱力学第2法則のクラウジウスの表現を一文で述べなさい。
  2. 300 K の物体から 600 J の熱が可逆的に移動した。エントロピー変化を求めよ。
  3. 孤立系でエントロピーが減少する自然プロセスが存在しない理由を熱力学第2法則に基づいて説明しなさい。
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このレッスンのQ&A

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