光の波長・電磁波スペクトル・光量子
光の波としての性質(波長・スペクトル)と、粒子としての性質(光量子・光電効果)を概観し、電磁波の全体像を整理します。
基本知識
可視光の波長範囲: 約 380 nm(紫)〜 780 nm(赤)。
電磁波のスペクトル(波長が長い→短い順):
電波 → マイクロ波 → 赤外線 → 可視光 → 紫外線 → X線 → γ線
すべて真空中を速さ c = 3.0×10⁸ m/s で伝播。
光量子(光子,photon): 光はエネルギーの塊(量子)としても振る舞います。
光子 1 個のエネルギー: E = hf = hc/λ(h = 6.63×10⁻³⁴ J·s: プランク定数)
光電効果 (photoelectric effect): 金属に光を当てると電子が飛び出す現象。振動数が一定値(限界振動数 f₀)以上のとき起こる。
hf = W + (1/2)mv²max(W = hf₀: 仕事関数,(1/2)mv²max: 光電子の最大運動エネルギー)
光子(光量子,photon)(光のエネルギーの最小単位。E = hf)
プランク定数 h = 6.63×10⁻³⁴ J·s
光電効果 (photoelectric effect)(光が金属に当たり電子が飛び出す現象。振動数依存)
仕事関数 W [J または eV](金属から電子を取り出すのに必要な最小エネルギー)
限界振動数 f₀(光電効果が起こる最低の振動数。f₀ = W/h)
深掘り (背景・意義)
光電効果はアインシュタインが 1905 年に光量子仮説で説明し、1921 年ノーベル物理学賞を受賞(相対性理論ではなくこれ)。古典電磁波理論では説明できない「振動数依存性」が量子論の出発点となりました。
光の二重性(波動性+粒子性)は現代物理の核心。干渉・回折・偏光は波動性、光電効果・コンプトン散乱は粒子性の証拠です。ド・ブロイはこれを物質波(電子も波長 λ = h/p を持つ)に拡張しました。
太陽光のスペクトルは黒体放射で近似され、峰の波長から太陽表面温度(約 5800 K)が推定できます(ウィーンの変位則)。
- 可視光: 380 nm(紫)〜 780 nm(赤)
- 電磁波: 電波→マイクロ波→赤外→可視→紫外→X線→γ線
- 光子エネルギー E = hf = hc/λ
- 光電効果条件: hf ≥ W(振動数が限界値以上)
- 最大運動エネルギー: (1/2)mv²max = hf − W
注意点 (混同しやすい)
① 光電効果は光の強度ではなく振動数に依存(古典波動論では強度依存のはずだが実験と矛盾)。② E = hf の f は光の振動数(媒質に依らない)。λ は媒質で変わるが f は変わらない。③ 仕事関数 W の単位は eV と J が混在。1 eV = 1.6×10⁻¹⁹ J。④ 限界波長 λ₀ = hc/W(波長が長い = 振動数が低い = エネルギー不足 → 光電効果起こらない)。
練習
- 振動数 6.0×10¹⁴ Hz の光子 1 個のエネルギーを求めよ(h = 6.6×10⁻³⁴ J·s)。
- 仕事関数 W = 2.0 eV の金属に振動数 f の光を当てて最大運動エネルギー 1.0 eV の光電子が出た。hf を eV で求めよ。
- 光電効果が「光の強度」ではなく「光の振動数」によって決まる理由を、光量子の観点から説明しなさい。