2次元の衝突と運動量保存
衝突が必ずしも一直線上で起きるとは限りません。平面内での衝突では、x・y 各成分で独立に保存則を立てます。
基本知識
2次元(平面)衝突での運動量保存はベクトルの成分ごとに立式します。
x 成分: m₁v1ₓ + m₂v2ₓ = m₁v1ₓ' + m₂v2ₓ'
y 成分: m₁v1ᵧ + m₂v2ᵧ = m₁v1ᵧ' + m₂v2ᵧ'
典型的な問題設定:
① 一方が静止しており、衝突後に別方向へ散乱(斜め衝突)
② 球が壁に斜めに当たる(入射角 = 反射角、または反発係数を使用)
③ 爆発で3方向に分裂
壁への斜め衝突: 壁に垂直な成分のみ反発係数が適用。壁に平行な成分は変化なし(なめらかな壁の場合)。
2次元保存: x 成分・y 成分を独立に立式
壁への斜め衝突: 垂直成分に e 適用、水平成分は不変
弾性の場合: x, y 保存 + エネルギー保存(3式) → 3未知数
爆発分裂: 分裂前の運動量 = 分裂後の各運動量の和(ベクトル)
sin, cos の分解: 速度を角度で分解して代入
深掘り(背景・意義)
2次元衝突問題は、座標軸の設定が解きやすさを大きく左右します。壁が x 軸に平行なら、壁に垂直方向を y 軸にとると計算が整理されます。
弾性の斜め衝突(等質量)では、衝突後の2球の速度ベクトルが直交することが知られています(ビリヤードの原理)。これは運動量保存とエネルギー保存の組み合わせから導かれます。
3体以上への分裂では未知数が増えますが、運動量保存(x, y)と対称性・与えられた条件(角度など)を合わせて解きます。
核反応や素粒子の散乱実験でも、検出器で測定された散乱角と運動量から未知粒子の質量・速度を逆算します。この応用が高エネルギー物理学の基本手法です。
- ベクトルを成分分解して立式
- x 保存、y 保存は独立した2式
- 壁への斜め衝突:垂直成分にのみ e 適用
- 等質量の弾性斜め衝突:衝突後速度は直交
- 座標軸を壁に平行/垂直にとると楽
- 爆発前静止→全方向の運動量和 = 0
- 三角関数で速度を分解
注意点(混同しやすい)
① x と y の保存則を混在させない(x 成分の式に y 成分を入れない)。② 壁への斜め衝突で摩擦がある場合は壁平行成分も変化する(なめらかな壁なら不変)。③ 2次元ベクトルの大きさは √(vₓ² + vᵧ²)(速さの計算時)。④ 角度指定がある問題では sin・cos の代入漏れに注意。
練習
- 速度 v₀(x 方向)で動く質量 m の球が静止している等質量の球に斜めに弾性衝突し、衝突後の一方が x 軸と 30° の方向に飛んだ。他方の速度の向きを求めよ。
- なめらかな壁(y 軸)に速度 v₀、角度 30°(壁の法線方向)で玉が当たった(e = 0.6)。跳ね返り後の速度ベクトルを求めよ。
- 静止していた質量 6.0 kg の物体が x 方向に 2.0 kg(速度 9.0 m/s)と y 方向に 4.0 kg に分裂した。4.0 kg の速さを求めよ。