高校発展 / 生物の進化と系統 5 / 6

生物の系統と3ドメイン説

生物の系統と3ドメイン説

全生物の系統を俯瞰します。3ドメイン説が主流となった背景と各ドメインの特徴、さらに主要な生物群の系統的位置を理解しましょう。

基本知識

3ドメイン説(ウーズ、1977/1990): 16S rRNA配列比較から、全生物は3つのドメインに分けられる。
細菌(バクテリア)ドメイン: 核膜なし・細胞壁=ペプチドグリカン。例: 大腸菌・乳酸菌・シアノバクテリア・根粒菌。
古細菌(アーキア)ドメイン: 核膜なし・ペプチドグリカン細胞壁なし・膜脂質=エーテル型(細菌・真核生物はエステル型)・16S rRNAで真核生物に近縁。生息環境: 高温泉・強酸性・高塩・嫌気など極限環境(超好熱菌・好塩菌・メタン産生菌)。
真核生物(ユーカリア)ドメイン: 核膜あり・細胞小器官あり。植物・動物・菌類・原生生物。
主要な真核生物の系統: 植物=緑藻→コケ→シダ→裸子→被子(最多種)。動物=海綿動物から始まり・刺胞・扁形・軟体・環形・節足・棘皮・脊索動物。脊椎動物: 無顎類→魚類→両生類→爬虫類→(鳥類)・哺乳類。
細胞内共生説: ミトコンドリア(α-プロテオバクテリア起源)・葉緑体(シアノバクテリア起源)が真核細胞の祖先に取り込まれて進化した。

例題
古細菌(アーキア)が細菌とは独立したドメインとされる根拠を、分子レベルと細胞膜の特徴から2点挙げなさい。
解答: ①分子レベル: 16S rRNA配列が細菌より真核生物に近く、ヒストン様タンパク質・イントロン・スプライシングなど真核生物的な特徴をもつ。②細胞膜: 古細菌の膜脂質はグリセロールとイソプレノイドがエーテル結合であり、細菌・真核生物のエステル型脂質とは根本的に異なる。
ポイント
  • 3ドメイン=細菌・古細菌・真核生物
  • 古細菌=分子的には真核生物に近縁
  • 古細菌の膜脂質=エーテル型(細菌・真核生物はエステル型)
  • ミトコンドリア起源=α-プロテオバクテリア
  • 葉緑体起源=シアノバクテリア
  • 被子植物=種多様性最大の植物群
  • 脊椎動物の系統: 魚→両生→爬虫→(鳥)・哺乳

注意点

① 古細菌は「古い細菌」ではなく、細菌とは別系統でむしろ真核生物に近縁な部分が多い。② 菌類(キノコ・カビ・酵母)は植物ではなく動物に近縁な真核生物。③ ウイルスは細胞構造をもたず3ドメインに含まれない。④ 系統樹の分岐パターンを読むとき、枝の長さではなく分岐の順番(トポロジー)が重要。

練習

  1. 3ドメインの名称をすべて答え、そのうちどれが最も真核生物に近縁かを述べなさい。
  2. 細胞内共生説におけるミトコンドリアと葉緑体の起源となった原核生物をそれぞれ答えなさい。
  3. 動物の系統で脊椎動物の出現以前に分岐した無脊椎動物の門を3つ以上挙げなさい。
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このレッスンのQ&A

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