サンガー法とゲノム解析 DNAを「読む」技術
DNA の塩基配列を決定するシーケンシング(塩基配列決定)技術は、ゲノム医学・進化研究・犯罪捜査まで幅広く応用されています。古典的なサンガー法から次世代シーケンサーまで概説します。
基本知識
サンガー法(ジデオキシ法): 1977年、フレデリック・サンガーが開発。2回目のノーベル化学賞(1980年)を受賞。
原理:
① 鋳型 DNA に対し、プライマーをアニールして DNA ポリメラーゼで合成。
② 通常のデオキシヌクレオチド(dNTP)に加え、微量のジデオキシヌクレオチド(ddNTP)を混在させる。ddNTP は 3'-OH を欠くため、取り込まれると鎖伸長が終止する。
③ A・T・G・C それぞれで終止した断片の長さを電気泳動で分離し、塩基配列を読む。
現代では蛍光標識 ddNTP を使い、1本のキャピラリー電気泳動で自動解読が可能。
次世代シーケンサー(NGS): 大量の短い断片を並行して読む手法(ショートリードシーケンシング)。ヒトゲノム(30億塩基対)を数日・数万円で解読可能。ヒトゲノム計画(1990-2003)では国際協力で初の全ゲノム解読を達成。
例題: サンガー法において、ddATP(ジデオキシアデノシン三リン酸)が取り込まれると鎖伸長が停止する。その化学的理由を述べなさい。また、サンガー法と次世代シーケンサーの最大の違いを述べなさい。
解答: ddATP は 3'位の -OH が H に置き換わっており(3'-OH を欠く)、次のヌクレオチドとのリン酸ジエステル結合を形成できないため鎖伸長が停止する。次世代シーケンサーとの違いは並列度で、サンガー法は1反応1配列を読む逐次的手法であるのに対し、NGS は数百万〜数十億の断片を同時並列的に読む。
解答: ddATP は 3'位の -OH が H に置き換わっており(3'-OH を欠く)、次のヌクレオチドとのリン酸ジエステル結合を形成できないため鎖伸長が停止する。次世代シーケンサーとの違いは並列度で、サンガー法は1反応1配列を読む逐次的手法であるのに対し、NGS は数百万〜数十億の断片を同時並列的に読む。
ポイント
- サンガー法=ddNTPで鎖伸長を停止させ断片長から配列を読む
- ddNTPは3'-OH を欠く→リン酸ジエステル結合形成不可
- サンガー=2度のノーベル化学賞(1958・1980年)
- 次世代シーケンサー=大量並列シーケンシング
- ヒトゲノム計画=1990-2003年、30億塩基対を解読
- 現在は1人分のゲノムを数万円・数日で解読可能
練習
- サンガー法でジデオキシヌクレオチド(ddNTP)を使う理由を説明しなさい。
- 電気泳動において DNA 断片が分離される原理を述べなさい。
- 次世代シーケンサーがゲノム医療に革命をもたらした理由を2つ挙げなさい。