高校発展 / 体内環境の維持 (恒常性とホルモン) 5 / 6

腎臓と体液調節 ネフロンの精密制御

腎臓と体液調節 ネフロンの精密制御

腎臓は体液組成(水・電解質・pH・老廃物)の恒常性を精密に維持する臓器です。ネフロンの構造と各部位の機能、ホルモン調節を発展レベルで学びます。

基本知識

ネフロン(腎単位)の構造と機能:
糸球体(毛細血管球): 血圧でろ過→原尿(約180 L/日)。赤血球・タンパク質はろ過されない。
ボーマン嚢: 原尿を受け取る。
近位尿細管: グルコース・アミノ酸を100%再吸収。Na・水を大量再吸収。HCO3再吸収(酸塩基平衡)。
ヘンレ係蹄: 髄質内を深く潜る。下行脚=水のみ透過・NaCl不透過。上行脚=NaClを能動輸送で再吸収・水は透過しない。この対向流交換機構で髄質に浸透圧勾配を形成。
遠位尿細管・集合管: ホルモンによる精密調節の場。
 ・バソプレシン(ADH): 集合管にアクアポリン(AQP2)を挿入→水の透過性増加→水の再吸収増加→尿が濃縮される。
 ・アルドステロン: 遠位尿細管・集合管のNaチャネル/ポンプ発現増加→Na再吸収増加・K排泄増加。

最終尿量: 約1.5 L/日(原尿の約99%が再吸収)。

例題: 脱水時に尿量が減少する仕組みを、バソプレシンとアクアポリンの働きを含めて説明しなさい。また、利尿薬(フロセミド)がヘンレ係蹄上行脚のNaCl再吸収を阻害すると尿量が増える理由を論じなさい。

解答: 脱水時: 血液浸透圧の上昇を視床下部の浸透圧受容体が感知し、脳下垂体後葉からバソプレシン(ADH)の分泌が増加する。バソプレシンは集合管上皮細胞のAQP2(アクアポリン2)を細胞膜に移動させ、水チャネルを増設する。これにより集合管での水透過性が上昇し、髄質の高浸透圧勾配に沿って水が再吸収されて尿が濃縮・減少する。フロセミドの効果: ヘンレ係蹄上行脚でのNaCl能動輸送が阻害されると、髄質の浸透圧勾配が形成・維持できなくなる。集合管でバソプレシンが作用しても浸透圧勾配がなければ水は再吸収されず、希薄な大量の尿が排泄される(利尿効果)。
ポイント
  • ネフロン=糸球体→ボーマン嚢→近位尿細管→ヘンレ係蹄→遠位尿細管→集合管
  • 糸球体ろ過=約180 L/日。99%再吸収→尿は1.5 L/日
  • 近位尿細管=グルコース・アミノ酸100%再吸収
  • ヘンレ係蹄=対向流交換で髄質浸透圧勾配形成
  • バソプレシン=アクアポリン2挿入→集合管の水透過性上昇
  • アルドステロン=遠位尿細管でNa再吸収上昇・K排泄上昇

練習

  1. ヘンレ係蹄の対向流交換機構が尿濃縮に重要な理由を説明しなさい。
  2. アルドステロン過剰(原発性アルドステロン症)で高血圧と低カリウム血症が生じる理由を述べなさい。
  3. 糖尿病で尿糖が出る理由を、近位尿細管のグルコース再吸収機構(SGLT)から説明しなさい。
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このレッスンのQ&A

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