ビッグバン宇宙論と宇宙の歴史
ビッグバン宇宙論は現代の標準宇宙論です。宇宙は約138億年前に超高温・超高密度の状態から始まり、膨張・冷却しながら現在の姿に至りました。
基本知識
宇宙の歴史の主要なマイルストーン:
① t=0: ビッグバン: 宇宙が超高温・超高密度の点(特異点)から始まる。
② ~10⁻³⁶秒後: インフレーション: 宇宙が指数関数的に急膨張。現在観測される宇宙の均一性の説明に使われる。
③ ~3分後: ビッグバン元素合成: 陽子と中性子が結合してH(水素)・D(重水素)・He(ヘリウム)・Li(リチウム)の原子核が合成される。
④ ~38万年後: 晴れ上がり: 宇宙が冷え(約3000K)て電子と陽子が結合して中性水素が形成。光が自由に飛べるようになる。この光の名残が宇宙マイクロ波背景放射(CMB)で、現在は約2.7Kの電波として観測される。
⑤ ~1億年後〜: 最初の恒星・銀河形成。
⑥ ~46億年前: 太陽系形成。
⑦ 現在(約138億年後): 宇宙は加速膨張を続けている。
ビッグバン(約138億年前の宇宙の始まり。超高温・超高密度状態からの膨張)
インフレーション(ビッグバン直後の指数関数的な急膨張。宇宙の均一性を説明)
晴れ上がり(約38万年後に光が自由に伝播できるようになった時期)
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)(晴れ上がり時の光の残光。約2.7Kで全天から観測)
ビッグバン元素合成(ビッグバン後数分でH・He・Liの原子核が合成された過程)
宇宙の年齢(約138億年。CMBとハッブル定数から計算)
深掘り (背景・意義)
ビッグバン理論を支持する3大証拠:
① ハッブルの法則(銀河の赤方偏移=宇宙膨張の観測的証拠)。
② 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)(1965年ペンジアス・ウィルソンが発見。ノーベル賞)。CMBは宇宙がかつて熱かった証拠。
③ 軽元素の存在比(宇宙のヘリウム含有率が約25%というのがビッグバン元素合成の予言と一致)。
現在の宇宙の組成は、通常物質約5%・ダークマター約27%・ダークエネルギー約68%です。私たちが知っている原子からなる物質はたった5%に過ぎません。
インフレーション理論は1980年代に佐藤勝彦・グース・リンデらが提唱し、「なぜ宇宙はこんなに均一なのか」「なぜ空間は平坦なのか」という問いへの答えを提供しました。ただし直接的な観測証拠はまだ確立されていません。
- 宇宙の年齢=約138億年
- ビッグバン3大証拠:ハッブル則・CMB・軽元素比
- CMB=晴れ上がり(約38万年後)の光の名残・約2.7K
- インフレーション=ビッグバン直後の急膨張
- 宇宙組成:通常物質5%・暗黒物質27%・暗黒エネルギー68%
- ビッグバン=「爆発」ではなく「空間の急膨張の始まり」
- 現在の宇宙は加速膨張中
注意点 (混同しやすい)
① ビッグバンは「爆発」ではなく「空間の膨張の始まり」。「どこかで爆発した」のではなく「宇宙全体が膨張した」。② CMBは「晴れ上がり」の光であって、ビッグバンそのものの光ではない。③ ダークマター(重力の源)とダークエネルギー(加速膨張の源)は全く別物。④ 宇宙年齢138億年は「光年」ではなく「年」。
練習
- 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)とは何か、簡単に説明しなさい。
- ビッグバン理論を支持する観測的証拠を2つ挙げなさい。
- 現在の宇宙の組成について、通常物質・ダークマター・ダークエネルギーのおよその割合を答えなさい。