翻訳: mRNA→タンパク質
翻訳(translation)はmRNAの塩基配列を読み取り、アミノ酸配列(タンパク質)に変換する過程です。遺伝暗号(コドン)・tRNA・リボソームが協調して働きます。
基本知識
遺伝暗号(コドン): mRNAの連続する3塩基=コドン。4³=64種類のコドンが20種類のアミノ酸と3種の終止コドン(UAA・UAG・UGA)に対応。縮重性(縮重コード)=複数のコドンが同じアミノ酸をコード。開始コドン=AUG(メチオニン)。
tRNA(転移RNA): アンチコドン(コドンに相補的な3塩基)と対応するアミノ酸を持つ。アミノアシルtRNA合成酵素がアミノ酸をtRNAに結合させる(ATP消費)。
翻訳の流れ: ①開始: リボソーム小サブユニットがmRNAの5'末端に結合し、開始コドン(AUG)を見つける。大サブユニットが結合してP部位にfMet-tRNAが位置。②伸長: A部位に次のアミノアシルtRNAが入る→ペプチジルトランスフェラーゼ(rRNA=リボザイム)がペプチド結合形成→転座(A→P→E部位)。③終結: 終止コドンに放出因子が結合→ポリペプチド鎖が解放。
ポリリボソーム(ポリソーム): 1本のmRNAに複数のリボソームが同時に乗ってタンパク質を並列合成し、翻訳効率を高める。
翻訳後修飾: リン酸化・糖鎖付加・切断・ジスルフィド結合形成など。タンパク質の折りたたみにはシャペロンが必要。
mRNAの配列5'-AUG-UUU-GAA-UAA-3'がコードするアミノ酸配列を答え、各コドンの役割を説明しなさい。
解答: AUG=開始コドン(メチオニン)、UUU=フェニルアラニン、GAA=グルタミン酸、UAA=終止コドン(アミノ酸をコードしない)。アミノ酸配列はメチオニン-フェニルアラニン-グルタミン酸の3残基。終止コドンに達するとポリペプチドが解放される。
- コドン=mRNAの3塩基・64種類・縮重あり
- 開始コドン=AUG(メチオニン)
- 終止コドン=UAA・UAG・UGA
- tRNA=アンチコドン+アミノ酸・アミノアシルtRNA合成酵素が結合
- リボソームA・P・E部位で伸長・転座
- ペプチジルトランスフェラーゼ=ペプチド結合形成(rRNAがリボザイム)
- ポリソーム=1mRNA+複数リボソームで効率↑
注意点
① アンチコドンはtRNA上にあり、mRNAのコドンと相補的(逆平行)に結合する。② 遺伝暗号は「縮重」しているが「曖昧」ではない(1コドンは必ず1アミノ酸に対応)。③ ペプチジルトランスフェラーゼ活性はリボソームRNA(rRNA)が担うリボザイム活性で、タンパク質成分ではない。
練習
- 遺伝暗号が64種類のコドンしかないのに20種類のアミノ酸をすべてコードできる理由を説明しなさい(縮重性を使う)。
- 翻訳の伸長段階でリボソームのA・P・E部位がそれぞれ担う機能を答えなさい。
- 「ポリリボソーム」が翻訳効率を高める理由を説明しなさい。