血液型と遺伝 ABO・Rh
ABO式血液型は共優性・複対立遺伝子の典型例として遺伝学の教科書に必ず登場します。Rh式血液型とあわせて、血液型の遺伝様式・輸血・母子間の血液型不適合を理解しましょう。
基本知識
ABO式血液型の遺伝: 1遺伝子座に3つの対立アリル(I ᴬ, I ᴮ, i)が存在する複対立遺伝子の例。
・I ᴬ は i に対して優性: I ᴬI ᴬ または I ᴬi → A型。
・I ᴮ は i に対して優性: I ᴮI ᴮ または I ᴮi → B型。
・I ᴬ と I ᴮ は共優性: I ᴬI ᴮ → AB型。
・ii → O型。
A型赤血球=A抗原+抗B血清抗体(IgM)。B型=B抗原+抗A抗体。AB型=両抗原・抗体なし。O型=抗原なし・両抗体あり。
ABO型と輸血の原則: 赤血球の抗原と受血者の抗体が反応すると凝集(溶血)が起こる。O型=ユニバーサルドナー(赤血球のみ)・AB型=ユニバーサルレシピエント。ただし現代の輸血は原則同型輸血。
Rh式血液型: D抗原の有無でRh陽性(Rh⁺)・Rh陰性(Rh⁻)に分類。D抗原遺伝子(RHD)がある=Rh⁺・ない=Rh⁻。Rh⁻は初回の不適合输血・妊娠では抗Rh抗体が産生されない(感作のみ)が二回目に強い応答→新生児溶血性疾患(Rh不適合妊娠)。Rh⁻の母がRh⁺の子を出産する場合、次回妊娠で問題が生じる。抗D免疫グロブリン(Rhogam)投与で予防。
血液型遺伝の応用: 親の血液型から子どもの血液型を確率的に計算する問題は入試頻出。例: A型(I ᴬi)×B型(I ᴮi)の子=A型: B型: AB型: O型=1:1:1:1。
A型の母とB型の父の間にO型の子が生まれた。両親の遺伝子型を特定し、この子の兄弟がAB型になる確率を求めなさい。
解答: O型の子のアリル=ii なので両親ともiアリルをもつ。A型母=I ᴬi、B型父=I ᴮi。I ᴬi × I ᴮi の子: I ᴬI ᴮ(AB): I ᴬi(A): I ᴮi(B): ii(O)=1:1:1:1。したがってAB型になる確率=1/4=25%。
- ABO型=複対立遺伝子(Iᴬ・Iᴮ・i)・共優性(Iᴬ と Iᴮ)
- O型=ii・両方の抗体(抗A・抗B)をもつ
- AB型=Iᴬ Iᴮ・どちらの抗体もない
- Rh⁺=D抗原あり・Rh⁻=D抗原なし
- Rh不適合妊娠=Rh⁻母×Rh⁺子→新生児溶血性疾患リスク
- Rhogam=抗Rh感作を防ぐ抗D免疫グロブリン
- A型母+B型父でO型・AB型・A型・B型すべて生まれうる
注意点
① O型(ii)は劣性ホモ、AB型(I ᴬI ᴮ)は両アリルが共優性。② Rh不適合は第2子以降に問題が起こりやすい(初回妊娠で感作、次回以降に抗体攻撃)。③ 「O型はユニバーサルドナー」は赤血球に関してのみ。血漿・血小板は別の原則が適用される。
練習
- ABO式血液型の遺伝子型と表現型の対応を、複対立遺伝子の概念を使ってすべて列挙しなさい。
- AB型の父とO型の母の子の血液型の比を求めなさい。
- Rh不適合妊娠が第2子以降で問題になりやすい理由を、感作と免疫記憶の観点から説明しなさい。