長文中の this / that / it / such / these factors / the former / the latter などの指示語・代用表現が何を指すかを正確に追跡できないと、文章の論理がすべてずれて誤読につながります。難関大では指示語の内容を問う設問も頻出です。
基本ルール
指示語の指す内容を特定する手順:
① 指示語の直前にある名詞・文・段落を候補にする(基本は直前を指すが、常に直前とは限らない)。
② 指示語を候補の内容に置き換えて、文全体の意味が通るかを検証する。
③ thisやthat単体は「直前の1つの文全体、または直前の複数文の内容」を指すことが多く、名詞1語より広い範囲を指すことが多い。
④ such + 名詞 は「前に述べた種類のもの」を指す。「Such behavior is common among young children.」← such behavior = 前段で述べた具体的行動
⑤ the former / the latter は直前に並べられた2つの事柄のうち、前者/後者を指す。
⑥ 代用のdo/does/didは、直前の動詞(句)の代わりに使われる:「He studies harder than his brother does.」= does = studies
指示語の指す内容を「代入して読み直す」検証作業を省略しないことが正確な読解の鍵です。
Some researchers argue that intelligence is largely determined by genetics, while others emphasize the role of environment. This debate has continued for decades without a clear resolution.(一部の研究者は知能が主に遺伝によって決まると主張し、他の研究者は環境の役割を強調する。この議論は数十年間、明確な結論なしに続いている)← This debate = 前の1文全体(遺伝vs環境の対立)を指す
Reading fiction and playing video games both require sustained attention, but the former demands imaginative engagement while the latter often relies on quick reflexes.(小説を読むこととテレビゲームをすることは共に持続的な注意を必要とするが、前者は想像力を働かせる関与を要求し、後者はしばしば素早い反射神経に依存する)← the former=Reading fiction / the latter=playing video games
間違えやすいところ
① this/thatが指す範囲は「1語」ではなく「前文全体の内容」であることが非常に多い。指示語の指示内容を答える設問では、名詞1つだけでなく、前文の要点を要約した形で解答する必要がある場合が多い。
② 指示語が直前の文ではなく、もう少し前の段落・文を指すこともある(特に段落の冒頭にある指示語)。直前だけ確認して安易に決めず、意味が通るかの検証を必ず行う。
③ the former/the latterは「2つの対比」が前提。3つ以上の並列にはこの表現は使えないため、対比構造(2項対立)を先に確認する。
④ 代用のdo/does/didは比較構文で特に頻出。「as much as he does」のように、代動詞が何を代用しているかを常に元の動詞に戻して確認する。
- 指示語は「代入して意味が通るか」で検証する
- this/thatは1語より前文全体の内容を指すことが多い
- such+名詞は前段で述べた種類のものを指す
- the former/the latterは2項対立が前提
- 代用のdo/does/didは元の動詞に戻して確認する
練習問題
- 次の文の This が指す内容を説明しなさい:Several studies found no link between the two variables. This has led some scholars to question the original hypothesis.
- the former / the latter が使えるのはどのような条件下か説明しなさい。
- 指示語の指す内容を確定する際の検証手順を説明しなさい。