核融合反応:ppチェインとCNOサイクル
恒星内部のエネルギー源は水素をヘリウムに変える核融合です。反応経路は恒星の質量(温度)によって異なります。
基本知識
核融合の基本は4つの水素原子核(陽子 ¹H)が1つのヘリウム原子核(⁴He)に変換される反応です。質量欠損 Δm がエネルギー E = Δm·c² として放出されます。
ppチェイン(陽子-陽子連鎖)は太陽程度(温度約1000万K以下)の恒星で主要な反応です。概略:
¹H + ¹H → ²H + e⁺ + ν(ポジトロン放出・ニュートリノ放出)→ ²H + ¹H → ³He → ³He + ³He → ⁴He + 2¹H
CNOサイクルは炭素(C)・窒素(N)・酸素(O)が触媒となるサイクルで、1500万K以上で効率的になります。太陽質量の1.3倍以上の恒星では CNO サイクルが主要になります。
どちらの経路でも「4¹H → ⁴He + エネルギー」という正味の反応は同じです。1回の核融合での質量欠損は水素質量の約0.7%(4×1.0078u → 4.0026u、Δm ≈ 0.029u)で、これが膨大なエネルギーになります。
核融合(軽い原子核が合体して重い原子核になり、質量欠損分がエネルギー放出)
ppチェイン(太陽程度の恒星で主要。陽子同士の反応から始まる連鎖反応)
CNOサイクル(高温・高質量星で主要。C・N・Oが触媒として循環する)
質量欠損(核融合前後の質量差。E=mc²でエネルギーに変換)
ニュートリノ(ppチェインで生成。ほぼ透過性が高く地球まで届く)
水素燃焼(主系列段階で起きる核融合の総称。ヘリウムに変換する)
深掘り (背景・意義)
太陽は毎秒約6億トンの水素を核融合し、そのうち約425万トンが質量欠損でエネルギーとなります(E = Δm·c²:Δm ≈ 4.25×10⁹ kg/s、c = 3×10⁸ m/s → P ≈ 3.83×10²⁶ W)。
核融合は通常の化学反応の約1000万倍のエネルギー密度を持ちます。核融合炉(ITER・JT-60SA)はCNOの代わりに重水素-三重水素(D-T)反応を使います。
ヘリウム燃焼(トリプルアルファ過程)は赤色巨星段階で始まる反応で、3つの⁴He が¹²C(炭素)になります。その後さらに重い元素(C・O・Ne・Si・・・Fe まで)が合成されていきます。鉄より重い元素は超新星爆発時の中性子捕獲(sプロセス・rプロセス)で合成されます。
- 核融合の正味反応:4¹H → ⁴He + エネルギー
- 質量欠損≒水素質量の0.7%
- ppチェイン:太陽以下の低温・低質量星
- CNOサイクル:太陽質量×1.3以上・高温星
- 太陽の光度 ≈ 3.83×10²⁶ W
- ヘリウム燃焼(トリプルアルファ)で炭素生成
- 鉄より重い元素は超新星爆発時の中性子捕獲で生成
注意点 (混同しやすい)
① ppチェイン(低温・低質量)とCNOサイクル(高温・高質量)の使い分け。② 質量欠損 Δm が全てエネルギーになるのはE = Δm·c²(化学反応のE = ΔH とは桁が違う)。③ CNO は触媒で消費されない。④ 「水素燃焼」は燃焼反応(酸化)ではなく核融合。
練習
- ppチェインとCNOサイクルはそれぞれ主にどのような恒星で起こるか答えなさい。
- 核融合で4つの水素から生成されるのは何か。
- 質量欠損とエネルギーの関係式を答えなさい。