高校基礎 / 植生の多様性と分布 2 / 6

光合成と光環境 陽生植物と陰生植物

光合成と光環境 陽生植物と陰生植物

森林の階層構造を作り出す根本要因は光環境です。植物は光に対して異なる戦略をとり、陽樹(陽生植物)陰樹(陰生植物)に分かれます。

基本知識

植物は光合成で二酸化炭素を吸収し有機物を作ると同時に、呼吸で酸素を消費しています。光が弱いと光合成量<呼吸量となり、見かけ上CO2を放出します。光合成と呼吸が等しくなる光の強さを光補償点、それ以上強くしても光合成量が増えなくなる光の強さを光飽和点と呼びます。
陽生植物(陽樹): 光補償点・光飽和点ともに高い。強光下で速く成長するが、暗い場所では育たない。例: アカマツ・クロマツ・コナラ・カラマツ・シラカンバ。
陰生植物(陰樹): 光補償点・光飽和点ともに低い。弱光下でも生育可能だが、強光下での成長は遅め。例: スダジイ・タブノキ・アラカシ・ブナ・モミ・ツガ。
森林の遷移では、明るい裸地では陽樹が先に侵入し、林床が暗くなると陽樹の芽生えは育たず、暗くても育つ陰樹が下層で育ち、やがて陰樹優占林に置き換わります。

📘 重要用語
光補償点(光合成量と呼吸量が等しくなる光の強さ)
光飽和点(これ以上光を強めても光合成量が増えない光の強さ)
陽生植物(陽樹)(光補償点・光飽和点が高い。明るい場所を好む)
陰生植物(陰樹)(光補償点・光飽和点が低い。暗い場所でも生育可能)
見かけの光合成速度(CO2吸収量=総光合成量−呼吸量)
総光合成速度(実際に植物が光合成で生産する有機物量)

深掘り

光合成速度のグラフは縦軸CO2吸収量、横軸光の強さで描かれ、必ず暗黒下では呼吸量分マイナスから始まります。原点を通らない点に注意してください。グラフが横軸を切る点が光補償点、上昇が止まる点が光飽和点、原点とグラフの交点の差は呼吸量に当たります。
陽樹は太陽光直射が必要ですが葉あたりの呼吸量も大きく、光が弱いと生存できません。陰樹は呼吸量が小さいぶん効率的に光を使え、林床のわずかな光でも生き残れます。これが遷移における主役交代を生み出しています。葉の構造でも違いがあり、陽樹は柵状組織が厚く葉が小さく厚いのに対し、陰樹は薄く広い葉で少ない光を最大限利用します。

💡 ポイント
  • 光補償点=光合成量=呼吸量となる光の強さ
  • 光飽和点=これ以上光を強めても無駄な光の強さ
  • 陽樹=光補償点・光飽和点が高い(アカマツなど)
  • 陰樹=光補償点・光飽和点が低い(ブナ・スダジイなど)
  • 見かけの光合成速度=総光合成速度−呼吸量
  • 暗黒下ではグラフはマイナス(呼吸のみ)
  • 陰樹優占林=遷移の最終段階(極相林)に向かう

注意点

光補償点光飽和点は別概念。光補償点を超えると正味で光合成が利益になる。② 陽樹は「強光で速い」だけでなく「弱光では生きられない」点もポイント。③ 見かけの光合成速度総(真の)光合成速度の関係: 総=見かけ+呼吸量。④ 陽樹・陰樹の例を取り違えない(アカマツ=陽樹、ブナ=陰樹)。

練習

  1. 光合成量と呼吸量が等しくなる光の強さを何というか。
  2. 陽樹と陰樹のうち、光補償点が低いのはどちらか。
  3. 見かけの光合成速度=総光合成速度−〇〇〇である。〇〇〇に入る語句を答えなさい。

このレッスンのQ&A

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