エネルギーの流れと物質循環
生態系ではエネルギーは一方向に流れて熱として失われ、物質(炭素・窒素・水など)は循環するのが基本です。
基本知識
エネルギーの流れ:
太陽光エネルギーを生産者が光合成で化学エネルギー(有機物)に変える。これが食物連鎖で消費者へ運ばれる。しかし、各段階で呼吸や運動により熱エネルギーとして放出され、再利用されない。エネルギーは生態系の中を一方向に流れて出ていく。
エネルギー効率(各栄養段階で次に渡せる割合)は約10%とされ、上位ほど利用できるエネルギーが激減します。
物質循環:
炭素・窒素・酸素・水などは無機物の形で環境と生物の間を循環する。
・炭素循環: 大気CO2→光合成→有機物→呼吸でCO2に戻る。死骸は分解者が分解してCO2に戻す。化石燃料の燃焼で大気CO2が急増中。
・窒素循環: 大気N2→窒素固定細菌(根粒菌・アゾトバクター・ネンジュモなど)→アンモニウムイオン→硝酸塩→植物→動物→分解者→脱窒素細菌でN2に戻る。
・水循環: 蒸発・降水・流出を繰り返す。
エネルギーの流れ(生態系を一方向に流れて熱として失われる)
エネルギー効率(次の栄養段階に渡せるエネルギーの割合。約10%)
物質循環(炭素・窒素・水などが環境と生物を循環)
炭素循環(光合成と呼吸でCO2が循環)
窒素固定(大気N2をアンモニウムイオン等に変換する反応)
窒素固定細菌(根粒菌・アゾトバクター・ネンジュモ等)
脱窒素細菌(硝酸イオンをN2に戻す細菌)
深掘り
エネルギー効率が約10%という法則(エルトンの10%則)は、栄養段階が上がるごとに利用可能エネルギーが1/10、1/100、1/1000と急減することを意味します。だから上位捕食者ほど個体数が少なく、生態系を維持するには広大な面積が必要なのです。クジラやライオンの生息地保全が広域でなければ意味がないのはこのためです。
窒素循環は人間活動で大きく変動しています。ハーバー・ボッシュ法(1909年開発)による化学窒素固定の発明で食料生産は飛躍的に伸びましたが、肥料の過剰投与は河川・海洋の富栄養化(後述の赤潮・アオコ)を引き起こします。植物は根からNO3-(硝酸イオン)やNH4+(アンモニウムイオン)として窒素を吸収し、アミノ酸・核酸・タンパク質などを合成しています。
- エネルギーは一方向に流れる(熱として失われる)
- 物質(炭素・窒素・水)は循環する
- エネルギー効率は約10%(エルトンの法則)
- 炭素循環=光合成と呼吸でCO2が出入り
- 窒素固定細菌=根粒菌・アゾトバクター・ネンジュモ
- 脱窒素細菌=N2に戻す
- ハーバー・ボッシュ法=人工窒素固定
注意点
① エネルギーは循環しない(一方向)、物質は循環する。この対比が最重要。② 窒素固定(N2→NH4+)と脱窒(NO3-→N2)は逆向きの反応。③ 根粒菌はマメ科植物の根に共生する窒素固定細菌。共生関係。④ エネルギー効率約10%は概算であり、生態系によって変動する。
練習
- 生態系内でエネルギーは循環するか、それとも一方向に流れるか答えなさい。
- マメ科植物の根に共生して窒素固定を行う細菌を何というか。
- 大気中の窒素を化学的に固定する工業的方法を何というか。