アルコールとエーテル
ヒドロキシ基-OHを持つアルコール、エーテル結合-O-を持つエーテルはどちらも分子式CnH2n+2Oで、官能基異性体の関係にあります。
基本知識
アルコールの分類: 価数で1価/2価/3価(-OHの数)、Cの結合相手で第1級(-OHがついた炭素にHが2個)・第2級(H1個)・第3級(H 0個)。
主なアルコール: メタノール CH3OH(毒性高い、失明・死亡)、エタノール C2H5OH(酒類)、グリセリン CH2OH-CHOH-CH2OH(3価、化粧品)。
主な反応:
① Na反応: 2C2H5OH + 2Na → 2C2H5ONa + H2(全アルコール共通)
② 酸化: 第1級→アルデヒド→カルボン酸、第2級→ケトン、第3級→酸化されにくい。酸化剤K2Cr2O7+H2SO4、KMnO4等。
③ 脱水: 濃硫酸+加熱。低温(130〜140℃)→分子間脱水でエーテル 2C2H5OH → C2H5OC2H5 + H2O、高温(160〜170℃)→分子内脱水でアルケン C2H5OH → CH2=CH2 + H2O。
④ エステル化(カルボン酸との反応、可逆): R-OH + R'-COOH ⇄ R'-COOR + H2O。
ヨードホルム反応: CH3-CH(OH)-Rの構造(エタノール、2-プロパノール、乳酸等)はI2+NaOHで黄色CHI3沈殿。
アルコール(R-OH、水素結合で高沸点)
第1/2/3級アルコール(-OH付きCの結合相手のH数で区別)
酸化の段階(第1級RCH2OH→RCHO→RCOOH)
脱水反応(低温→エーテル、高温→アルケン)
ヨードホルム反応(CH3-CO- またはCH3-CH(OH)- 構造の検出)
エーテル(R-O-R'、アルコールより低沸点、無極性溶媒)
深掘り (原理・応用)
エタノールの工業製法: ①糖のアルコール発酵 C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2(酵素)、②エチレン+水(リン酸触媒、合成法)。バイオエタノール(サトウキビ・トウモロコシ由来)は再生可能燃料として注目。
メタノールは工業的に重要な化学原料(ホルマリン製造、メチルtert-ブチルエーテルMTBE等)だが、人体内でホルムアルデヒド→蟻酸へ代謝されて中枢神経毒性(失明・死)。密造酒・ワイパー液誤飲事故の原因物質。
エーテルはジエチルエーテル(C2H5)2Oが代表で、麻酔薬(歴史的)・有機溶媒として使用。沸点35℃と低く揮発性が高く、空気と混合して爆発性のため要注意。
アルコールの水素結合: -OHが水素結合可能なので、ジエチルエーテル(沸点35℃)>1-ブタノール(沸点117℃)など、分子量が同じでもアルコールの方が大幅に高沸点。
- アルコール=R-OH、エーテル=R-O-R'、官能基異性
- 第1級→アルデヒド/酸、第2級→ケトン
- 濃硫酸脱水: 低温エーテル、高温アルケン
- Na反応でH2発生(アルコール全般)
- ヨードホルム反応=CH3-CO-/CH3-CH(OH)-検出
- メタノールは毒性、エタノールは飲用可
- 水素結合でアルコールはエーテルより高沸点
注意点 (混同しやすい・頻出ミス)
① エタノールとジメチルエーテルは同じC2H6Oだが全く異なる物質(官能基異性体)。② ヨードホルム反応の陽性例: エタノール、2-プロパノール、アセトン、アセトアルデヒド、乳酸等、CH3-CO-またはCH3-CH(OH)-構造を持つもの。メタノールは陰性(-CH3がついたCに-OHや>C=Oがない)。③ 分子間脱水と分子内脱水は温度で使い分け。④ 第3級アルコールはK2Cr2O7等の通常の酸化剤で酸化されない(C-C切断が必要)。
練習
- エタノールを濃硫酸と低温・高温でそれぞれ加熱したときの生成物を答えよ。
- 2-プロパノールを酸化したときの生成物を答え、ヨードホルム反応の陽性/陰性を述べよ。
- 第1級・第2級・第3級アルコールの酸化結果を比較せよ。