理科
化学生物
自然科学研究機構 分子科学研究所の杉本泰伸研究員、理化学研究所の水流翔太特別研究員、分子科学研究所/総合研究大学院大学の長坂将成助教らは、室温(25℃)の水溶液中にあるミオグロビンについて、ヘムの鉄イオンのスピン状態を軟X線吸収分光で観測することに成功した。ポルフィリン環の窒素の吸収端を使い、タンパク質本体のポリペプチド鎖に含まれる大量の窒素に埋もれずにC=N π*ピークを取り出せた。酸素が結合したオキシ型は低スピン(S=0)、酸素が外れたデオキシ型はS=2とS=1、鉄が3価になったメト型はS=5/2とS=3/2が混ざった平衡状態だった。論文はPhysical Chemistry Chemical Physics誌に2026年8月24日オンライン掲載、発表は9月7日。
理科
地学化学
NASAの火星探査車キュリオシティが2024年5月30日にゲール・クレーターのゲディズ・バリス水路で車輪で割った石の中から、黄色い結晶が見つかった。X線分光装置APXSの分析で、硫酸塩や硫化物ではなく単体の硫黄(自然硫黄)と確認された。火星で単体の硫黄が確認されたのは初めて。ワシントン大学(セントルイス)のスコット・ヴァンボメル氏ら14人の論文はScience誌に2026年6月28日にオンライン掲載、8月20日号の表紙になった。硫黄の主な供給源はマグマの蒸気で、地下の凍った層で冷えて固まり、水路の侵食で圧力が下がって放出されたと提案している。
理科
物理素粒子
米サウスダコタ州の地下約1.5kmにある暗黒物質探索実験LUX-ZEPLIN(LZ)は2026年9月1日、2023年3月から2024年4月までの220日分のデータの中に、既知の背景では説明しにくい原子核の反跳イベントが1回あったと発表した。反跳エネルギーは248±23(統計)±23(系統)keV。背景だけで説明できる確率は0.5%程度(2.6σ)で、素粒子物理で「発見」とされる5σには届かない。もし暗黒物質なら質量は陽子の200倍以上。研究チームは「暗黒物質を見たとは主張しない」と明言している。
理科
地学地震
2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方の深さ16kmでマグニチュード7.1(暫定値)の地震が起き、宇城市と氷川町で震度7を観測した。気象庁はこの地震と一連の活動を「令和8年熊本地震」と名付けた。震度1以上の地震は7月28日の16時から24時までに194回、29日に144回、30日に62回と減り、8月下旬には1日数回、9月4日9時までの累計は747回。気象庁は9月1日の発表で、揺れの強かった地域では今後3〜4週間、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要としている。
理科
地学気象
気象庁が2026年9月1日にまとめた「2026年夏(6〜8月)の天候」。夏の平均気温は平年との差が北日本+1.2℃、東日本+0.8℃、西日本+1.2℃、沖縄・奄美0.0℃。西日本では7月中旬、7月下旬、8月下旬の旬平均気温が1946年の統計開始以降で最も高かった。関東甲信は台風と豪雨で降水量が平年の141%。
理科
物理光
NASAのX線偏光観測衛星IXPEがマグネター1E 1547.0-5408を140時間以上観測し、X線の偏光が同種の天体の約3倍という異常に高い値を示した。1936年にハイゼンベルクが予言した真空複屈折の、90年で最も強い証拠とされる。
理科
地学惑星
火星の南半球のマントルは北半球より200〜400℃高温で、一部が溶けている可能性がある。NASAの周回機3機の電波追跡データ16年分を解析した結果。
理科
化学結晶
東京科学大が、温めると縮む材料BNFOを「ガラスのように結晶構造を持たない原料」から直接つくる方法を発表。従来の約950℃・多段階の反応が、750℃・1分未満で結晶化し、粒子も約15→約5マイクロメートルに小さくなった。
理科
地学宇宙望遠鏡
NASAは2026年8月30日、視野がハッブル宇宙望遠鏡の少なくとも100倍ある赤外線宇宙望遠鏡「ローマン」を打ち上げた。今後、暗黒物質・暗黒エネルギーの解明や系外惑星探しに使われる。
理科
地学銀河
ESAは2026年8月27日、ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した不規則銀河Arp 263(約2500万光年先)の画像を公開した。星とガスの向きのずれなどから、過去の銀河合体の跡と考えられている。
理科
有機化学芳香族化合物
理化学研究所と名古屋大学は2026年8月26日、複雑なナノグラフェンをわずか2段階の反応で合成する手法を発表した。8~10個の環が連なった分子を、平面から湾曲した構造まで作り分けられる。
理科
海洋サンゴの白化
東京大学などは2026年8月25日、2024年の記録的な海洋熱波が沖縄から本州まで全国でサンゴの白化を引き起こしたと発表した。北へ広がったサンゴも被害を受け、温帯が『避難地』にならない可能性を示した。
理科
地学太陽系外惑星
NASAは2026年8月25日、系外惑星探査衛星「パンドラ」が科学観測を始めたと発表した。1年間で少なくとも20個の系外惑星を、それぞれ10回・24時間かけて観測する計画。
理科
地学太陽系
国立天文台などが、すばる望遠鏡のアーカイブ画像に偶然写り込んだネウイミン彗星の姿を発表した。太陽光をほぼ正面から受ける配置(位相角0.33度)で、小惑星より強く光を反射していた。
理科
地学恒星
ALMA望遠鏡が2026年8月24日、ベテルギウス表面のホットスポットが7年以上同じ場所に留まっていたと発表した。表面の平均温度は約2300K、ホットスポットは最大800K高かった。
理科
中学理科 状態変化高校 物理基礎 熱
KAISTの研究チームが、極薄の高分子コーティングの厚みと構造を制御し、水蒸気が水に戻るときの熱の伝わりやすさを従来の銅表面の最大5.5倍にした。熱伝達係数は最大88 kW・m⁻²・K⁻¹。
理科
中学理科 気象とその変化高校 地学基礎 大気と海洋
8月23日15時の時点で、台風18号・19号・20号が同時に存在している。最も強いのは18号で、中心気圧950hPa、中心付近の最大風速45m/s。八重山地方では23日夕方にかけて線状降水帯のおそれが伝えられた。
理科
地学物理基礎
2025年1月に打ち上げられたファルコン9の上段が2026年8月5日に月面へ衝突。NASAの月周回探査機LROが8月11日に衝突跡を撮影した。
理科
生物免疫
90代まで少ないままのCD4陽性キラーT細胞が、100歳を超えると顕著に増える。クローン由来なのに機能は多様で、消耗した様子もなかった。
理科
生物基礎体液の恒常性
HDLコレステロールの値が同じでも、血管から余分なコレステロールを回収する能力が低い人ほど、危険なプラークが大きかった。細胞を使わない新しい測定法で確認。
理科
化学高分子
銀ナノワイヤと導電性高分子を組み合わせ、厚さ約200ナノメートルで水に強い透明導電膜を開発。脳の活動記録と血管の観察を同時に行える。
理科
物理電気抵抗
ニッケル酸化物の薄膜にひずみを加えることで、常圧の超伝導と超高圧の超伝導を同じ試料で観測。転移温度は約40Kから最高73Kまで上がった。
理科
物理基礎化学
セレン化鉄の単原子層を別の結晶の内部に埋め込むことで、薄膜でしか出せなかった性能を塊の材料で実現した。熱電性能は塊状のセレン化鉄の約100倍。
理科
光周性開花のしくみ
筑波大学などは2026年8月21日、植物が気温の記憶から開花の季節を予測する『季節メーター』の仕組みを発表した。ワサビとハクサンハタザオでは3つの遺伝子が数日・数週間・約5か月と異なる長さの気温記憶を担っていた。
理科
地学惑星探査
JAXAは2026年8月20日、火星衛星探査機MMXを搭載するH3ロケット10号機を10月20日4時41分に打ち上げると発表した。MMXはフォボスから10g以上のサンプルを持ち帰る計画。
理科
波の干渉二重スリット実験
東京大学などは2026年8月20日、シリコン結晶の隣り合う原子2個を『二重スリット』に見立て、電子線の干渉じまを観測したと発表した。スリット間隔はヤングの実験より約7桁小さい136pmだった。
理科
中学理科・生物高校生物・代謝
細胞の中の鉄と酸素を同時に見る蛍光技術をつくり、生きたマウスの肝臓で細胞ごとの違いを確かめた。
理科
半導体キラリティ
東京科学大学が、半導体にキラル分子を電気で出し入れしてキラリティを切り替える技術を発表。スピンを選び分ける能力は約99%に達した。
理科
DNA複製染色体
理化学研究所などは2026年8月10日、細胞核内でDNAがつくる立体構造の再構築がDNA複製の開始を左右すると発表した。GINS4というタンパク質を増減させ、構造の回復度合いと複製開始の関係を確かめた。
理科
幹細胞再生医療
東京科学大学が、コラーゲンとペプチド分子PG-008を使う腸オルガノイドの培養法を発表。潰瘍性大腸炎の患者細胞でも約8割の成功率を達成した。
理科
消化器免疫
東京科学大学が、潰瘍性大腸炎の大腸に現れる「パネート細胞化生」の役割を発表。IL-22が引き金となりREG3Aが傷の修復を助けていた。
理科
結晶構造光の性質
東京科学大学が、キラルでない結晶なのに光への反応が違う現象の原因を解明。違いは典型的なキラル分子の約1000倍に達した。
理科
生物細胞
手足口病を起こすウイルスが、人の腸を再現した「腸チップ」の中で14日間増え続けたのに、細胞はほとんど壊れなかった。免疫の反応も弱いままだった。
理科
生物光合成
光合成をする微生物ラン藻から、硫酸化多糖シネカンを作る遺伝子群を別のラン藻へ移植し、機能させることに世界で初めて成功。細胞膜上の複雑な合成システム全体を別種へ移した例はこれまでなかった。
理科
生物遺伝子の発現
歯周病のマウスに強いかみ合わせの力を加えると、炎症と骨の破壊を進める遺伝子の働きが活発になることが分かった。咬合性外傷の影響を遺伝子レベルで網羅的に調べた初めての研究。
理科
腎臓のはたらき恒常性(ホメオスタシス)
日本の人工透析患者は約34.7万人(2022年末)、医療費は年間1兆円超。原因1位は糖尿病性腎症。血液をろ過する腎臓の働きと、その『抗老化』をめぐる研究を解説。
理科
地質時代化石と地層
大阪市立自然史博物館で特別展『大絶滅展—生命史のビッグファイブ』が2026年10月12日まで開催。地球史で起きた5回の大量絶滅を、化石や岩石に残された証拠からたどる。
理科
万有引力空気抵抗
2004年から稼働するガンマ線バースト観測衛星スウィフトが高度低下で大気圏突入の危機に。NASAは約3,000万ドルで、別の宇宙機をドッキングさせて軌道を押し上げる史上初のミッションに挑む。
理科
万有引力ケプラーの法則
ハッブルとジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測から、天の川銀河最大の球状星団で太陽の約4.46倍の質量のブラックホールが見つかった。
理科
進化自然選択
愛媛・面河山岳博物館の特別展をきっかけに、生物がもつ毒・トゲ・擬態などの『防御と捕食の戦略』を進化の視点で考える。
理科
発酵微生物
徳島の山あいに伝わる阿波晩茶は、茶葉を乳酸菌で発酵させる世界でも珍しい「後発酵茶」。発酵という身近な現象から微生物と食品科学を学べる。
理科
化学触媒
北海道大学触媒科学研究所の研究チームが、従来の理論では合成が難しいとされてきた合金材料の合成に成功。CO2を化学原料に変える新しい触媒への応用が期待される。
理科
宇宙天体
JAXAの探査機はやぶさ2が7月5日、小惑星トリフネのそばを秒速約5kmで通過しながら観測する「超近接フライバイ」に成功した。
理科
宇宙天体
私たちの銀河の中心にある超大質量ブラックホール『いて座A*』が、少なくとも2万年にわたってガスの流れ(アウトフロー)を噴き出している証拠が見つかった。
理科
環境問題生態系
気候変動を止めるための再生可能エネルギー拡大が、進め方しだいでは生態系を壊すことがある。二つの環境危機はつながっており、両方が良くなる進め方が求められている。
理科
化学環境化学
米EPAが水道水のPFAS30物質を新たに監視する規則案を発表。
理科
生物光合成
珪藻が強光から身を守る光防御タンパク質の仕組みを解明。
理科
化学酸化還元
電気と廃熱でアルコールをクリーンに酸化する新手法を開発。
理科
生物免疫
mRNAがんワクチンを支える予想外の免疫細胞の働きを発見。
理科
生物微生物
カエルの腸内細菌が1回の投与でマウスの大腸がんを完治させた。